過去最大のリリースとなるiOS 10、WWDC 2016を振り返る--Appleニュース一気読み

 6月13日~6月20日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。

「iOS 10」のクールな新機能-写真で見る過去最大のiOSリリース
「iOS 10」のクールな新機能-写真で見る過去最大のiOSリリース

 Appleの開発者イベント、WWDC 2016では、iPhone/iPad向けのiOS 10、Apple Watch向けのwatchOS 3、Apple TV向けのtvOS 10、そしてMac向けのmacOS Sierraが発表された。各OSについては、大量に配信されている記事とともに、本稿でも重要なポイントを解説していく。

 筆者はここ数年のWWDCの取材を行ってきたが、2016年の基調講演は、これまでで最も開発者会議らしいステージだったと感じる。Appleのソフトウェアのエコシステムに集中し、新たなOSが目指していること、どんな新しいことができるようになるか、そして、開発者に何を求めているのか。Appleからのメッセージは明確だった。

 例えば、基調講演の日の夕方に行われた、優れたアプリを表彰するApple Design Awardでは、Appleがアピールしたい優位性を代弁するようなアプリが出そろった。例えば3D Touchの圧力でコントロールするゲームや、全盲のDJがデモした音楽アプリ、医療やフィットネスでのデバイス活用、そしてクラウド環境を駆使した複数のAppleデバイスの連携。

 これらは、Appleのエコシステムだからこそ実現できる体験づくりであり、それを語るのは、世界70カ国以上から集まった多様性あふれる開発者なのだ。

 また、Appleとしての姿勢を明らかにしたポイントとして、機械学習の活用があった。技術としては、GoogleやFacebook、Amazonの後追いに見える。

 しかしAppleは、その技術が一般の人々に広まる瞬間を作り出して、先行者利益を確保してきた。パソコンの時も、音楽プレーヤーの時も、スマートフォンの時も、ウェアラブルの時もそうだった。早いことが重要ではなく、洗練され、人々に信頼されるものを作り出すことが重要なのだ。

 つまり、ニーズが花開きそうな時に、自社デバイスと、エコシステムの開発者とともに、一気に畳み掛ける。機械学習や音声アシスタントについては、2016年の秋がそのタイミング、ということになるだろう。

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過去最大のリリースとなるiOS 10

 Appleのビジネスモデル上、WWDC 2016で最も重要なソフトウェアは、誰がなんと言おうと、iPhone向けのiOS 10だ。「過去最大のリリース」と銘打った今回の発表では、バージョンナンバーと同じように、10項目にわたって、その新機能を紹介した。以下におさらいしておこう。

  1. リッチ通知:通知にアプリからのインタラクティブなコンテンツ表示や一定の機能を利用することができ、アプリを開かなくても、目的を達成できる。
  2. SIriの開発者への解放:開発者は、自分のアプリの機能をSiriから呼び出すことができる。Siri画面の中で、リッチ通知のようなカード型インターフェースを呼び出す。
  3. QuickType:Siri Intelligentに対応し、位置情報、電話帳、スケジュール、カレンダーの空き時間などを入力候補として挙げてくれる。
  4. 写真:新機能「メモリー」登場。写真を、人や対象物、シーン、場所、時間などから自動的にまとめる機能。スライドショーの自動生成も可能に。
  5. 地図:デザインの刷新。こちらもSiri Intelligentを利用した自宅の場所や、カレンダーの次の予定の場所への移動を推薦。ナビゲーションは自動ズームをサポート。またAPI解放により、地図アプリ内でレストラン予約やUber予約などが可能に。
  6. Apple Music:有料会員1500万人を達成。デザインを刷新し、For You、Browseを軸にしたシンプルな音楽発見のユーザーインターフェースを実装。
  7. News:2000のニュース配信者が参加。Apple Music風のデザインに刷新され、アプリ内での定期購読機能にも対応。
  8. HomeKit:コントロールできるデバイスが拡大。iOS 10の標準アプリとしてHomeを追加し、部屋のレイアウトやシーンの登録が可能になった。コントロールセンターには、HomeKitのコントロールをまとめたページを用意。
  9. 電話:サードパーティーのVoIPアプリの機能を、標準の電話アプリに統合。電話帳で、相手によってどの手段で電話をかけるかを選択できる。また留守番電話の文字化をサポート。
  10. メッセージ:テキスト効果、絵文字のサイズ拡大、スタンプやGIFなどの外部アプリとの連携を実現。

 iOS 10での最大の変化は、標準アプリの開発者へのより深い公開にある。電話、Siri、地図、そしてメッセージといったアプリのなかで、開発者のアプリの機能を呼び出すことができるようになる。

 ユーザーは、これまでアプリ切り替えを頻繁に行いながら、必要な作業を行ってきた。言うなれば、アプリによって、ユーザーの体験が分断されてきたことになる。iOS 10で分断されるのは、ユーザー体験ではなく、アプリの機能だ。

 例えばメッセージで友達と夕食の約束をするとき、今までは、メッセージとYelpアプリ、OpenTableアプリを行ったり来たりしながら、店選び、予約を行ってきた。

 これが、メッセージアプリの中で、切り出された他のアプリの機能を利用できるようになれば、ユーザーはホームボタンを連打することもなくなるはずだ。

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