過去最大のリリースとなるiOS 10、WWDC 2016を振り返る--Appleニュース一気読み - (page 2)

iOS 10でサポートから外れる、過去のデバイスの問題

 Androidに比べてiOSは、最新のバージョンのOSがいち早く普及する。このことは、新しいOSの機能を生かしたアプリ開発に取り組みたい開発者にとって、非常に魅力的なプラットホームであることを示している。

 しかし、時間の流れの中で、過去のデバイスをサポートしないという判断も行ってきた。iOS 10では、Siriを初めてサポートしたiPhone 4Sがサポート対象から外れることになった。

 より深刻なのはiPadだ。iPad 2、iPad 3、iPad miniという、iPadが一気に普及するきっかけとなったデバイスを、iOS 10はサポートしなくなるのだ。試算によると、iPadでiOS 10をサポートしなくなるのは、稼働しているiPadの40%にものぼる。

 Appleは、iPadについて、iPhoneのような2年ごとの買い替えサイクルを生み出せず、販売不振に陥っている。iOS 10をサポートしないとデバイスを所有している個人や企業が、2016年秋のタイミングで買い換えるかどうか。

 あるいはこのタイミングで、何らかの新製品や、既存の製品の値下げなど、販売テコ入れ策を講じるには良いチャンスになるかもしれない。

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メッセージの進化

 iOS 10は、Appleにしては、「ハジけたアプリ」だ。とてもポップだし、表現力豊かだ。柔らかい言葉を使えば、「デコデコ」「モリモリ」な表現ができるように、気遣われている。米国市場において、Appleは、Snapchatの「次」を狙っているのではないかと考えられる。

 米国では、世代ごとに主要なSNSが分断している傾向にある。Facebook、Instagram、Snapchat……。もちろん世代間の交流もあるが、わかりやすく言えば親がいないSNSにすみつくのだ。

 その点、iMessageはSMSからシームレスに利用できるため、必ずしも「親がいない」場とは限らない。ただし、ユーザー登録が不要で、十分に楽しいメッセージングが楽しめるならば、その優位性を生かして一定のポジションを獲得できる可能性は十分にある。

 また、前述の通り、メッセージの中で他のアプリの機能を呼び出すことができる仕組みを備えている。これは、開発者が、自分のアプリを開いてもらわなくても、その機能を使ってもらえるようになることを意味している。

 メッセージ用の機能を特集したApp Storeも用意され、画像の加工や動画、キャラクターなどのコンテンツを生かしたアプリにとって、新たなビジネスチャンスが生まれている。

 もう1つ重要な点は、非開発者も、Xcodeを利用して、スタンプを販売することができるようになることだ。Appleのエコシステムの上でビジネスを展開するのが開発車だけでなくなった点は、大きな変化だ。

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watchOS 3で、Apple Watchは全く別物に

 watchOS 3で驚いたのは、これまでのApple Watchの操作性がほとんど踏襲されなかったことだ。

 文字盤を表示している状態で、上からのスワイプはこれまで通り通知センターが表示されるが、下からのスワイプでは、グランスに変わって、直近で起動した10のアプリを呼び出せるDockが表示されるようになった。

 しかも、Dockの表示は、より細かい間隔で最新情報に更新されている。アプリの起動も7倍に高速化され、ストレスがなくなることが期待できる。そのため、グランスが不要になったと見ることができる。

 また、文字盤を左右にスワイプすると、デザインを簡単に変更できるようになった。ユーザーが、1日の中で、あるいは平日と週末で、文字盤を頻繁に変更していることがフィードバックされ、より文字盤を変更しやすくする改善を施したという。

 新しい文字盤にはミッキーに加えてミニーも追加されているほか、アクティビティのリングをより大きくデザインした文字盤も追加された。そのアクティビティは、共有機能が搭載されたほか、車椅子のユーザーの計測をサポートした。

 iOS 10と同じように、Apple Watchに届く通知の中では、画像や動画、アニメーションの表示が可能になった。また、手描き文字入力をサポートしており、より簡単にメッセージが送れるようになるはずだ。

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HomeKit、専用アプリHomeを実装し、Siriとも連携

 Appleのスマートホーム戦略はあまり進化に本腰を入れていないように見えた。しかし、iOS 10で進化が加速する可能性が見えてきた。

 iOS 10にHomeアプリが追加され、部屋割りやシーンの登録など、家のデバイスを一括してコントロールする仕組みをようやく搭載した。これによって、iPhoneやiPad、そしてApple TVから、家の中のデバイスを操作できるようになった。

 もちろんSiriもサポートしており、「おはよう」と話しかければ、朝のプリセットにデバイスが動作するようになる。

 また、玄関のドアカメラをサポートしており、ベルが鳴るとiPhoneやApple Watchに通知が届き、通知の中で玄関のライブの映像を確認できるようになる。

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