Appleの「HomeKit」は、スマートホームをもっと簡単に制御できる時代の到来を告げるものと期待されていた。「iPhone」「iPad」「iPod touch」で「Siri」の機能を駆使して、自宅のコネクテッドデバイスを制御するという時代だ。音声コマンドを使用して照明を落としたり、エアコンを調整したりするというのは、Appleが2014年6月に年次開発者会議Worldwide Developers Conference(WWDC)で初めてその計画を発表したときには、画期的だと思えた。
だが、HomeKitの発表から2年近く経った今も、かつて有望視されていたAppleのプラットフォームは、競合他社ほどの進展を見せていない。スマートホームネットワークをうたう大手のなかで、Appleのパートナー数は最少だ。そのうえ、競合の圧力も厳しい。今や3つの製品をそろえた「Amazon Echo」プラットフォームに対抗しなければならず、音声コマンドでスマートホームデバイスを制御できるバーチャルアシスタントスピーカ「Google Home」も、間もなくリリースされるからだ。
とはいえ、HomeKitにもまだ望みはあるかもしれない。The Informationの5月の報道によると、Appleはソフトウェア開発キット(SDK)を介してプログラマーがSiriにアクセスできるようにすることを計画中だという。また、Amazon EchoやGoogle Homeに対抗する独自のハードウェアにも取り組んでおり、顔認証機能の付いたカメラを組み込む可能性もあるとされている。
AppleはこれまでHomeKitについてほとんど何も明らかにしていないため、筆者はあまり期待していなかったが、2016年のWWDCが米国時間6月13日に迫っている。WWDCは、Appleが自社のスマートホーム構想をもう一度盛り上げる好機になるはずだ。仮にうわさが事実だとしても、HomeKitにはまだ、スマートホームネットワークにデバイスパートナーを呼び込むという点で、やるべきことが残っている。
スマートホームが長期的に成功するかどうかは、他社のデバイスとサービスをどう統合するかによるところが大きい。
Google(Alphabet)のNestやAmazonの「Alexa」が、他のスマートホームデバイスに関して、圧倒的な数の(かつ着実に増えている)パートナー契約を交わしていなかったとしたら、消費者の関心はここまで高まっていないだろう。
Appleのプラットフォームに関する問題は、数字を見れば容易に指摘できる。同社のサイトで公開されている互換製品のリストによると、公式パートナー企業は16社にすぎない。しかも、この16社というのは、最初に発表されてから2年後の数字だ(実際には、HomeKit対応のスマートロックメーカーAugustを含めると17社だが、まだ同社のサイトに反映されていない)。
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