これに対し、Nestのパートナーは70社で、Alexaはスマートホームに直接関係するパートナーを40社近く抱えている。ほぼ同じ期間で、Nestを初めとする競合各社は、スマートホームの消費者にとっての選択肢が非常に豊富というブランドを確立していった。
Appleのアプローチが遅い理由の1つは、メーカーがHomeKit対応製品を販売するためには複雑な認定プロセスを経なければならないことだ。Appleの初期のパートナーのうちLutron、August、Ecobeeなどは、Appleが承認した新しいチップを使って、HomeKit認定を受けた特別なバージョンの製品を作らなければならなかった(詳しくはこちらを参照)。
スマートホームデバイスの認定を慎重に進めることは、セキュリティや信頼性、消費者にとっての使いやすさが改善されるのであれば、必ずしも悪いことではない。こうしたことがAppleのHomeKit戦略によって最終的に実現するのだとしたら、長期的には功を奏する可能性がある。現在のスマートホームはまだ初期の段階であり、メインストリームの注目を引くために対処すべき課題はまだまだ多い。
だが、セキュリティと信頼性は、メインストリームの消費者に伝えるのが難しい概念だ。Appleは、多様な価格帯と製品タイプを網羅した強力なラインアップのパートナーデバイスを用意し、消費者が自分に合ったHomeKit製品を見つけられるようにすれば、その難しさを相殺できるだろう。
AppleがEchoの競合製品に関する報道を認めることはないだろうが、もし本当に専用のHomeKitアプリやSiriのサポートの拡大、そしてEcho風のスピーカ(あるいは家庭でSiriともっと簡単に話すための何らかの手段)をWWDCで発表するとしたら、HomeKitの展望は大幅に改善されるかもしれない。どれか1つが発表されるだけでも先行きが明るくなるだろう。だが、パートナーリストを拡充し続けることのメリットは、たとえ新しいガジェットの購入につながらないとしても、プラットフォームに関して新しいものをユーザーに提供し、興奮を与えることにある。また、自社のスマートホームネットワークが話題を集め続けるうえでも有効だ。
繰り返すが、スマートホームはまだ黎明期だ。Appleも競合各社も、長期的なゲーム戦略を立てる余裕がある。しかし、いつかは、競争力を維持するために、HomeKitが十分な選択肢をユーザーに提供しなければならない日が来る。そうなれば、パートナーが製品を市場に投入する方法を合理化することにはならないとしても、Appleは新しいデバイスパートナーを増やすことになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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