アップル「WWDC 2016」開幕迫る--予想される発表内容と望まれる製品改善点

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年06月10日 07時30分

 「Hey Siri、Appleには今何が起こっているの?」

 5日間にわたるAppleの年次開発者会議「Worldwide Developer Conference」(WWDC)が、サンフランシスコで米国時間6月13日、恒例の大規模な報道陣向け基調講演とともに開幕する。しかし、新しいハードウェアは期待しない方がいい。Appleは既に小型の「iPhone」と「iPad Pro」を3月に発表しているし、新しい「iPhone 7」と「Apple Watch」の発表は早くても9月になる見通しだ。もしかすると、再設計された新しい「MacBook」もそこで披露されるかもしれない。

 要するに、WWDCで肝心なのはハードウェアではなく、それらの端末を動かすソフトウェアなのである。「iOS」や「Mac」向けの「OS X」、さらにApple Watchや「Apple TV」の基盤となるOSを対象とする、新機能の数々が中心となる。そして、そのすべてを結びつける存在となるのが「Siri」だ。

Siri

 Appleが人工知能(AI)に関してライバルに追いつく必要があるように感じられるのは、おそらくそれが事実だからだろう。2016年は音声対話型スマートアシスタントの年であり、Appleのライバルたちは全力でこの分野に取り組んでいる。「Amazon Echo」が音声対話型アシスタントとスマートホームオートメーションの象徴的存在になっているにもかかわらず、GoogleやFacebook、Microsoftは2016年に開催した自社の開発者会議でボットとAIを前面に押し出した。

 AppleもSiriのサービスを大幅に刷新して、それに続くことが見込まれる。AppleはiPhoneや「iPad」、Apple TV、Apple Watchなど、あらゆる端末でSiriがいかに成長してきたか、あるいは今後もいかに成長し続けるかを熱心に説明する可能性が高い。うわさされてきたMacへの搭載も、遅ればせながら発表されるかもしれない。

 予想されること:これまでの報道によると、AppleはEchoに対抗する独自の製品を発表する予定だという。そのスピーカーはBeatsブランドの製品になる可能性があり、顔認識カメラも搭載されるかもしれない。しかし、WWDCで実際の製品が披露されることはなさそうだ。その代わりに、開発者が改善されたツール群を使ってSiriを活用する方法について、多くの議論がなされる公算が高い。Siriのソフトウェア開発キット(SDK)が提供される可能性もある。それが実現すれば、Siriはサードパーティーのアプリやサービスにシームレスに接続できるようになる。Amazonの「Alexa」は既に同様の機能を備えている。

 望むこと:Siriは複数の端末で常にユーザーの声に反応できる状態であるべきだ。そして、音声への反応を高め、音声であらゆることを実行できるように機能を改善する必要がある。だが確かに、自宅内のあらゆるものに接続し、シームレスにつながるAppleのSiriスピーカーハブはぜひとも見てみたい。Appleの端末群はより高度な認識機能を備える必要がある。近くに複数の端末があるときにユーザーが「Hey, Siri」と叫んだとしても、それらの端末が一斉にしゃべり出すようではだめだ。

 SiriはやがてEchoのAlexaに近い印象のものになるかもしれない。
SiriはやがてEchoのAlexaに近い印象のものになるかもしれない。
提供:Tyler Lizenby/CNET

iOS 10:iPhone、iPad

 予想されること:iOSの最新バージョンに関して、突拍子もない憶測はそれほど流れていない。Siri(上記参照)以外では、これまでに報じられている改善点の大半は、「iCloud」「Apple Music」「Apple Pay」に関するものである。長らく待望されてきたApple Musicのデザインと機能の刷新は、現在作業が進められているようだ。機能面の改善が待たれる「App Store」と「Photos」についても、同じことが言えるかもしれない(Appleは6月8日、App Storeに対する変更内容について、一部メディアを対象に明らかにしている)。iCloudのセキュリティも改善される可能性が高い。iPad、特にiPad Pro向けに特別なタブレット専用機能が追加される可能性もあるし、実際に追加されるべきである。

 望むこと:もうそろそろ、AppleはiPadを完全なコンピュータのように感じられる製品に変えるべきだ。iPad向けiOSがタブレット環境で発展し続けられるようにし、iPhoneはiPhoneであり続けられるようにすべきである。iOSは「Android」からいくつかの機能を借用してもいいだろう。例えば、アプリをダウンロードすることなくアプリ風の体験ができる機能、より高度な通知やウィジェットを表示する常時オンのディスプレイのサポートなどだ。

OS X:Mac

 予想されること:Siriを除けば、うわさされていることはそれほど多くない。「Touch ID」のMacへの搭載は、何年も前からうわさに上っている。2016年に発表される見通しの新型MacBookに搭載される可能性もあるが、Appleはその代わりにiPhoneのTouch IDを使ってMacのロックを解除できるようにするかもしれない。OS Xの名称が変更される可能性もある。OS XはMac向けOSの名称として古くなってきており、Appleは「MacOS」という名称に移行する可能性がある。

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