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メール開封率は40%--米国ミレニアル女性に流行るニュースレター「The Skimm」誕生秘話 - (page 2)

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 記念すべき最初のニュースレター「Daily Skimm」は、2012年7月に送られた。送った相手は5500人。2人がそれまでの人生で出会ったすべての人で、Facebookのつながりはもちろん、小学校のときの友達、元カレ、ありとあらゆる知りあいのメールアドレスをかきあつめた数だという。「Hi..仕事を辞めてニュースレターを始めることにしました。登録して、他の友達にも知らせて」と書いたところ、約700人が快く登録してくれた。

 家族は食事に連れて行ってくれたりと励ましたりしてくれたが、資金的な援助は一切なし。もちろん、資金らしい資金が必要なかったという背景もある。「Eメールプロバイダも何も知らなかった。Gmailで全員にBCCしていた」とWeisberg氏は苦笑混じりに振り返る。時期もよかった。きたる大統領選に向けて政治への関心が高まりつつあるところだったのと、幸運にもThe SkimmがTVで取り上げられたのだ。

 しかし何よりも、(2人は触れなかったが)文章のスタイルや長さ、切り口などのコンテンツがよかったのだろう。毎朝同じ時間にメールボックスに届くというところも人々の生活に入りやすかった。最後にその日誕生日を迎える人の名前が載っているが、このような配慮も女性コミュニティの育成につながっているはずだ。こうやってSkimmは口コミで広まっていく。3週間後には登録者が1万人に達し、その6カ月後には1万5000人を超えた。

「The Skimm」のアプリ
「The Skimm」のアプリ

 その頃から2人は、「コミュニティ」を意識するようになる。The Skimmのコンテンツがフレンドリーだからこそ、購読者は「こんな重要なことを知らなかった。ありがとう」「役に立った」などのフィードバックをくれるようになった。そのうちに、コメントの中に「何かできることはない?」「手伝うよ?」という人が出てくるようになり、”友達に広めて”というリンクを入れることにした。すると、「友達に広めたよ、他に手伝えることは?」というメールが届くようになり、これが「Skimm’bassadors」というプログラムに発展する。

 Skimm’bassadorsは「大使(ambassadors)」という言葉通り、Skimmを広めてくれる人にトートバックなどのインセンティブを付与するもの。2人の創業者に会うチャンスもある。Skimm’bassadorsは現在、1万3000人を数えている。コミュニティ活動ではこのほか、本拠地のあるニューヨークからスタートして東海岸の大学を回れる”カレッジツアー”も実施したのだとか。どこでも快く迎えられたという。

 購読者が増えるにつれて、2人は外部からの資金調達を考えるようになる。購読者が10万人に達したら……と、なんとなく考えていたところ、13カ月目にしてその数に達する。2人は意を決してサンフランシスコに行くが、「起業のイロハをしらなかった」という言葉通り、どれくらい購読者がいれば投資を受けられるのかも分からない状態だったという。

 Zakin氏は、「企業価値はどれぐらい(”what’s your valuation”)と言われたけれど、Valuationの意味がわからなかった。そこでDanilleが指で5を作った。”2人で500万?”と言われたけど、どうすればいいかわからなくて苦笑いしてた」と振り返る。今となっては笑い話だが、シリコンバレーのミーティングにも顔を出したものの2人以外は男性ばかり。「”電子メールは死んだ”と言われたり、”ニッチマーケットになぜフォーカスするの?”といわれて”女性はニッチマーケットではない”と言い返しえたり……」と体験を明かした。

 その後、The Skimmは2014年春に、ベンチャーキャピタルのHomebrewから約100万ドルの投資を受ける。オフィスを構えて従業員を雇ったが、そのうちの1人はSkimm’bassadorsだった人だという。それから2年、オフィスは米国で3カ所に増え、社員は20人になった。購読者は350万人、この中には大統領夫人のMichelle Obama氏や、女優のSarah Jessica Parker氏、TVの司会で知られるOprah Winfrey氏などもいる。そしてこの数はThe New York Timesのデジタル版購読者(有料)を超える数だ。

 ただし、なによりも驚きなのは40%というメール開封率だろう。2人はその秘密を明かさなかったが、一貫性のある高品質のコンテンツを安定して配信していることが大きいのではないか。なお、当初はGmailで手動配信していたというが、(イベントでは名言しなかったが)Salesforce.comのマーケティングクラウドなどのシステム周りも整備しているようだ。

「Skimm Ahead」
「Skimm Ahead」

 そして4月には、2つ目の製品として「Skimm Ahead」というアプリをローンチした。忙しい人向けのカレンダーアプリで、毎日のニュースレターに加えて、重要なことをカレンダー上に知らせてくれるというものだ。アプリは有料(iOSのみ、月額2.99ドル)で、広告に加えて2つ目の収益源となる。

 まもなく最初のニュースレターを送ってから4年目、“スマートになることを簡単に”という目標は変わっていないという。Salesforce.comの製品ソリューションマーケティング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるStephanie Buscemi氏が「The Skimmはメディア企業なのか?技術企業なのか?」と聞くと、技術の重要性を認めつつも「オーディエンスにフォーカスしている」と答えた。ニュースレターを量産する企業を目指しているわけではないため、現時点で別のニュースレターをローンチする計画はないという。

 「お金がある人もない人も、1日は24時間しかない。どうやってアテンション(関心)を得るか。この中でThe Skimmに時間を5分割いて読んでもらうことが大切だ」(Zakin氏)。

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