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メール開封率は40%--米国ミレニアル女性に流行るニュースレター「The Skimm」誕生秘話

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 次から次へとベンチャーが誕生する米国、25歳で起業と聞いてもおかしくないし、女性と聞いても珍しくなくなった。だが、ビジネスが「ニュースレター」と聞くと、不思議な気がする人もいるかもしれない。

 そう、学生時代に知り合った2人の女性が立ち上げた「The Skimm」はクールなアプリではなく、ニュースレターなのだ。2人の創業者が5月、米アトランタで開催された米Salesforce.comのイベント「Salesforce Connections 2016」で、The Skimmの誕生の経緯、今後の発展などについて語った。

「The Skimm」のウェブサイト
「The Skimm」のウェブサイト

 The Skimmは”ミレニアル”と呼ばれる20代から30代前半のプロフェッショナルな女性をターゲットにしたニュースレターだ。”スマートを簡単に”を売り言葉に、毎朝メールで重要なニュースを消化できるというものだ。なにも目新しくないかもしれない。だが、特定のテーマ(5月27日は「G7」)についての簡単な背景などを説明し、どうして重要なのか、なにを意味するのかも説明している。だいたい5行以内に収まっており、分かりやすい言葉遣いが目に嬉しい。もちろん、TwitterとFacebookなどで共有できるボタンがある。

 Skimmの仕掛け人はDanielle Weisberg氏(29歳)とCarly Zakin氏(30歳)の2人。海外留学先だったイタリア・ローマで知り合ったが、出身地や大学が違うため疎遠に。その後、たまたま2人とも大手TV局NBC Newsに就職していることがわかり再会した。2008年のことだ。

 NBCでの仕事はニュース、ストーリーテリングに興味があった2人にとって「ドリームジョブ」(Weisberg氏)だった。Weisberg氏はワシントンD.C.などで経験を積んだのちにニューヨーク勤務に。仕事にも報酬にも不満はなかったが、ともに将来を考えるタイミングがあった。ちょうどリーマンショックの直後、米国では主要新聞社が苦境に陥るなどメディア業界は打撃を受けており、業界の将来も気になるところだった。特にZakin氏は、マーケティングやビジネスサイドに興味を持ち始め、一度会社を辞めて勉強しようかと考えていた。そんなときに2人はルームメートになった。

 家に遊びに来る友達と話していて、2人はあることに気がついた。どの友達も仕事が楽しく、忙しく、成功しているが、共通して「忙しくてニュースを把握できない」と感じていたのだ。「スマートで成功している彼女たちがよく、今日のニュースはなに?何か重要なことを見逃していない?と焦りを感じていた。常にさまざまなニュースがあり、Twitterをはじめさまざまな情報ソースもあるが、ニュースを得たいと思っている人(とサービスとの間)にギャップがある」とWeisberg氏は話す。

The Skimmの共同創業者。左からDanielle Weisberg氏、Carly Zakin氏
The Skimmの共同創業者。左からDanielle Weisberg氏、Carly Zakin氏

 彼女には、TVが家にないという友達も少なくないし、夕方のニュース番組の時間に家にいる友達もほとんどいない。そこで、スマートな若い女性たちに、もっと簡単にニュースを届けることができるのでは、と考えた。NBCでニュースやドキュメンタリーのプロデュースの経験を積んでいた彼女には、”ニュースの届け役”のプロとしての意地もあったのかもしれない。

 こうして、2人がシェアしていたフラットのカウチでThe Skimmのアイディアが生まれた。ターゲットは自分たちの友達だ。20代のプロフェッショナルな女性が、必要なニュースを効率よく得るにはどうすればよいか。彼女達が求めているのは活字の羅列ではなく、パーソナリティのある「ボイス」だった。そこで、2人は信頼できる情報源としての”Skimm girl”を打ち立て、Skimm girlが必須のニュースを友達に伝えることをイメージした。

 どうやってニュースを伝えると効率よく消化してもらえるのかを考えたとき、行き着いたのがメールだった。「みんな、毎朝起きて最初にやることがメールチェック。だから毎日のニュースをメール形式で送ることは習慣の中に入ると思った。さまざまな技術がある中で、毎日の習慣を変えてニュースを得るのではリーチできないと思った」とWeisberg氏は説明する。

 また同氏は、言葉を変えて「Eメールニュースレターを配信する企業を作ろうと思ったのではない。ターゲットオーディエンスの習慣がたまたまEメールだったので、それをエンジンにしてオーディエンスに情報を届けることにした」とも説明する。そして、2人は”ドリームジョブ”だったNBCを辞めることに。「2人ともリスクテーカーではないから、本当に怖かった」とZakin氏が振り返る。退職の日、会社の外に出た時の光景をいまでも覚えているという。

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