Google I/O 2016

グーグル「Project Ara」--担当責任者に聞くモジュール式スマートフォンの現状 - (page 2)

Sean Hollister (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年06月01日 07時55分

 だが、Camargo氏はその後、スマートフォンを上着のポケットに入れてしまった。おそらく、筆者のように手の早いジャーナリストが、あまり多くを知りすぎないようにと警戒したのだろう。これ以上は何も見せてくれないのではないかと不安になった。今回のステージでデモが成功したのは例外で、普段は失敗しているのかもしれないが、確かめる機会はないだろうと思った。同氏が上着を脱いで卓球のラケットを手にしたとき、心のどこかで、あのスマートフォンを盗み見できたらどうなるだろう、と考えてしまった。

 それでも、ようやく会議室で席に着き、Project Araの今後について話が始まると、何も心配することはなかったとわかった。Camargo氏が、魔法の呪文でカメラを取り出す操作をまた見せてくれたからだ。

 モジュール式スマートフォンは、夢ではなく現実になった。

規模の縮小

 現在のProject Araは、かつて筆者の関心を引いたときとまったく同じままではない。大いに興味をそそることは変わらないが、アイデアのスケールがかなり縮小されているからだ。

 当初のProject Araは、コンピュータマニアがデスクトップPCを自作するように、ユーザーがすべてのパーツを選んで自分だけのスマートフォンを作れるようにするものだった。Araは、最も求められる究極のスマートフォンになっていたかもしれない。プロセッサやセルラー無線パーツを、新しいモデルが出たときに取り換えれば、それだけでスピードアップが可能になる。Googleが提供するのは「エンドスケルトン」(PCのマザーボードに相当)で、他の部分はハードウェアパートナーのエコシステムが供給するという具合だ。

 Project Ara Developer Editionの現行のプロトタイプ。Camargo氏は、最終版がより薄く、より「美しく」なることを断言した。
Project Ara Developer Editionの現行のプロトタイプ。Camargo氏は、最終版がより薄く、より「美しく」なることを断言した。
提供:Sean Hollister/CNET

 だが、今のProject Araは、プロセッサなどの中核部品を交換できる設計になっていない。こうしたパーツはすべて組み込みになっている。

 「ユーザー調査を実施したところ、コア機能のモジュール化に興味があるユーザーはほとんどいないことがわかった。コア機能がすべて本体に備わっていて、いつでも同じように動いてほしいというのが、ユーザーの希望だ」。Camargo氏はこのように説明した。

 「最初のプロトタイプでは何もかもモジュール化したが、ユーザーには不評だとわかっただけだった」(Camargo氏)

 そこで、新しいProject Araでは、長く使い続けられるスマートフォンを自作するのではなく、他のどこにもない組み合わせ機能を備えたスマートフォンを提供することになった。

より大きなモジュールスロットは2つの1×2モジュール、つまり、1つの大きな2×2を保持できる。
より大きなモジュールスロットは2つの1×2モジュール、つまり、1つの大きな2×2を保持できる。
提供:Sean Hollister/CNET

Project Araの強み

 2016年秋に出荷が予定されている「Project Ara Developer Edition」には、手始めとして4つのモジュールが付属する。スピーカ、カメラ、E-Inkディスプレイ(Amazonの電子書籍リーダー「Kindle」で採用されているようなディスプレイ)、そして拡張メモリモジュールだ。

 これだけでは、さほど魅力的とは言えないかもしれない。だが、これらはハイエンドのスマートフォンでさえ良好な性能とは限らない機能だ。サムスンの「Galaxy」に関して、音がこもりがちな1基だけのスピーカが気に入らないとしても、「iPhone」でもっと大容量のストレージが欲しいと思っても、普通はどうにもならない。

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