パーツの山から好きなものを選んで、自分だけのスマートフォンを作りたいと思っていた人にとって、「Project Ara」はその願いを叶えてくれる「Android」スマートフォンだ。
AraはGoogleのAdvanced Technology and Projects(ATAP)部門から生まれた。スマートフォンユーザーは、こういうスマートフォンが求められているはずだとメーカーが考える製品を受け入れるのではなく、自由にコンポーネントを組み合わせて自分が使いたいと思うスマートフォンを作成できるべきだと、Araは提案する。
ここでは、Araのコンセプトに詳しくない人のために、Googleの興味深いDIYスマートフォンについて、これまでに判明していることを紹介する。
これまでのプロトタイプ段階では、基盤となる長方形のフレーム(Googleはこれを「Endoskeleton」と呼ぶ)が、さらに小さな複数の長方形に分割されたような外観をしている。背面には回路基板と接続部があり、ここにモジュールとなる長方形ブロックを接続する。例えば、あるブロックに8メガピクセルカメラを接続し、別のブロックにプロセッサを取り付ける、という形だ。
自分の好みのスクリーンを装着することもできる。さらに、メインストリームのスマートフォンにはニッチすぎる医療やゲームのアドオンなど、ほかの専門的な装置を追加することも可能だ。フレームのサイズは複数用意されており、小型の端末にも大型の端末にも対応する。
われわれは、シリコンバレーにあるGoogleの本社で、「Spiral 2」プロトタイプを見せてもらった。現在、交換可能なモジュールは8種類ある。目標は、どのモジュールも本体の好きな場所に取り付けられるようにすることだ。それが実現すれば、カメラをユーザーの最も使いやすい位置に配置することが可能になる。
Project Araはカスタマイズの究極の形だ。ユーザーがすべてのモジュールを選び、装着位置を決め、カラーと視覚デザインを選択する。そのため、希望するスペックの入手という点でも、コストの点でも、スマートフォンユーザーは非常に高い柔軟性を得られる。
ハイエンドのパーツは高価だが、予算が限られている人も、希望のスペックを自由に選ぶことができるので、どのパーツにお金をかけて、どこでお金を節約するのかを自分で決めることができる。高解像度スクリーンは欲しいが写真撮影にはあまり興味がない、という人もいるだろう。その場合、ハイエンドのパーツだけで構成されるオールラウンドタイプのスマートフォンを買うよりお金を節約できるかもしれない。
Araスマートフォンの可能性の中で最も刺激的なことの1つは、小型望遠レンズや心拍数モニタといった専門的なコンポーネントの装着だ。こうした交換可能なパーツは一時的に使用するものなので、装着するモジュールを活動に応じて変えることも可能になるかもしれない。
Project Araがモジュール式であるということは、アップグレードの時期をユーザーが自分で決められるということだ。このことは、アーリーアダプターにとっても、テクノロジを長い間使い続ける人にとってもメリットとなる可能性がある。本体は同じものを使い続けて一部のパーツだけを交換すれば、長期的には費用を安く抑えられるかもしれない。次の最高の技術が登場したらすぐに手に入れたい人も、最新で最高のプロセッサやカメラをいち早く利用できるようになるかもしれない。
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