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総務省による“実質0円禁止”などの影響は--携帯3キャリアの決算を読み解く - (page 2)

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ソフトバンクグループは懸念の米Sprintが回復基調に

 ソフトバンクグループが5月10日に発表した2016年3月期決算は、売上高が前年度比8%増の9兆1535億円、営業利益が8.8%増の9995億円と、こちらも増収増益となった。当期純利益は29%減の4742億円となっているが、これは2014年のアリババ上場益の影響を除くと23%増の893億円になるとのことだ。

 増収増益の要因の1つは、ソフトバンクの国内通信事業と、ヤフーを主体としたインターネット事業が安定的に推移していること。中でも国内通信事業にフォーカスを当てると、売上高が前年同期比4%増の3兆1068億円、営業利益が7%増の6884億円となるほか、サービス関連のARPUが伸びたことで、第4四半期のARPUも前年同期比100円増の4680円となっている。

通信よりもサービスのARPUが大きく伸びていることから、今後はサービスARPUの拡大に力を入れる方針のようだ
通信よりもサービスのARPUが大きく伸びていることから、今後はサービスARPUの拡大に力を入れる方針のようだ

 とはいえ、最近ではモバイルの契約数が頭打ち傾向にあり、PHSや通信モジュールの解約が相次いで契約数は前年比128万の減少、主要回線に限っても解約率が1.35%と、他社と比べ依然高い傾向が続いている。しかも、総務省のガイドライン制定によって端末の実質0円販売施策が展開できなくなったことで、他社、特にドコモからユーザーを奪うことが難しくなりつつある。

 実質0円販売ができなくなったことについて、孫氏は「私は意見を述べる立場ではない。日本もいろいろ体験して学んでいくのではないか」と冷静なコメントを返しているが、従来通りの戦略をとるのが難しくなってきたのは事実だろう。それだけに、ソフトバンクは今後、他社からユーザーを奪うことよりも、サービスや固定通信に力を入れ、セットでの利用を高めることで、1人あたりの売上を拡大することに注力していくようだ。

 もう1つ、増収増益の要因として挙げられているのが、長い間懸念とされてきた米Sprintの業績回復である。孫氏はこれまで、Sprintに関してネットワークや純増の改善、経費削減、リース販売の導入など、さまざまな施策で業績回復に向けた取り組みを進めてきたが、その成果がようやく実を結びつつあるようだ。

 孫氏によると、米国で1人負け状態だったSprintのポストペイド契約純増数が、2015年度にようやく反転し、2016年の1~3月にはベライゾンやAT&Tを抜く純増数を記録したとのこと。大幅に純増数を増やしているT-Mobile USと比べれば勢いはまだ弱いが、1人負けの状態から抜け出したことは大きい。

携帯電話のポストペイド契約の純増数が回復し、AT&Tやベライゾンを逆転したことから、1人負け状態から脱却したとしている
携帯電話のポストペイド契約の純増数が回復し、AT&Tやベライゾンを逆転したことから、1人負け状態から脱却したとしている

 ポストペイドの純増数が増えるとともに、解約率も2.09%から1.61%へと大幅に改善している。孫氏によると、解約率が下がった要因は「ネットワークの改善が大きい」とのことで、ニールセンの調査でもLTEのダウンロード速度が全米で最も高いという調査結果が出ているとのことだ。

 「ソフトバンクのネットワーク改善も最初は『嘘だ』と言われた。急には信じてもらえないかもしれないが、実態としてネットワークは改善してきている」と孫氏は話しており、ネットワークの改善に強い自信を見せている。


ニールセンの調査で、LTEのダウンロード実効速度が全米で最も高いという結果が出たとのことで、スプリントのネットワーク改善も進んでいると孫氏は説明

 さらにコスト削減や、リース販売による売上の安定化など、さまざまな施策が功を奏し、米国会計基準でようやく営業利益が黒字に転じたとのこと。「Sprintは資金が回らなくなるのではないかと問題視されていたが、我々の努力で手元に潤沢な資金が積み上がり、目先のお金のために間違った経営判断をしなくてもよくなった」(孫氏)とのことで、ようやく業績の好循環が生まれつつあるようだ。

 2016年度も、ソフトバンクグループはSprintの業績回復に注力する方針のようで、営業利益10~15億ドル、調整後のフリーキャッシュフローをゼロ付近にするなどの目標を掲げている。「現在、ソフトバンクグループは海外で業績が悪いという枕詞がついているが、1年後はそれを変えようと思い始めるのではないか」と孫氏は回復に自信を見せている。ただし、最悪期を脱したとはいえ、足元の競争環境は依然厳しい。引き続き、孫氏の手腕が大きく問われることに変わりはないだろう。

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