不動産仲介は「ユーザーが置き去り」--チャットで部屋探し「ietty」の覚悟 - (page 2)

内見などを一部委託、東大と共同研究も

 5月13日には、神奈川県で人材派遣業を提供するプロスとの提携を発表した。iettyの部屋見学や、iettyBIZの新規開拓など一部業務をプロスに委託することで、シーズンの波によって人員コントロールができ、無駄なコストをより省けるようになるとしている。また、iettyの展開エリアは東京都と、神奈川県、千葉県、埼玉県の一部地域のみだったが、提携によって2016年内には名古屋や大阪へ拡大する予定だ。

 さらに同日には、東京大学大学院 情報理工学系研究科電子情報学専攻・山崎研究室と共同研究をすることも発表された。山崎研究室がiettyのユーザーデータや物件評価データから、不動産物件の魅力度などを定量化し、iettyユーザーの登録・動向データに合わせて、適切な物件を紹介する「人工知能チャットbot」を開発するという。物件評価や希望条件などのビッグデータを活用した新規ビジネスの創出も目指す。

人工知能チャットbotプラットフォーム構想
人工知能チャットbotプラットフォーム構想

オンライン不動産でナンバーワンを目指す

 チャットによるオンライン接客が強みのiettyだが、集客から物件の提案、内見までの賃貸仲介業務を自社で完結していることも、競合の「SUUMO」や「HOME'S」などにはない強みだと小川氏は話す。

 現在、契約時の重要事項の説明は、オンラインではなく店舗などでの対面が義務付けられているが、2017年の法改正によってここもオンライン化する見通しだ。小川氏は、この状況がネット証券やネット保険市場の立ち上がりに似ていると話し、オンラインでの不動産仲介が立ち上がったタイミングで早期にナンバーワンを狙いたいと意気込む。

 「オンライン化によってどんどん手数料が下がっていき、仲介料がなくなる時代が訪れるかもしれない。電力自由化のように、オンライン不動産仲介が広がれば消費者のマインドセットが変わる。そこで手数料戦争が起きれば大手の不動産会社はついていけない。イノベーションが起きる余地は十分にあり、そうなればiettyは先頭に立てる」(小川氏)。

 ただし、オンラインならではの課題もあると小川氏は話す。現在は店舗が恵比寿にしかないため、店舗型の不動産屋と比べて、それぞれの地域事情に詳しくないことだ(周辺環境や自治体の動きなど)。そのアセットをいかにして貯めるかが、今後のエリア展開において重要になるとみている。

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