「Android」スマートフォンにプリインストールされたGoogleのアプリが消費者を代替品から遠ざけているのではないか。欧州連合(EU)監視当局がこうした懸念を強めている。
EUの競争政策を担当するMargrethe Vestager氏は現地時間4月18日、Googleのほか、Amazonのような巨大テクノロジ企業も技術革新を抑圧している、と懸念を表明した。Vestager氏は、消費者のニーズを第一に考えることを改めて誓った。同氏は2014年、Googleがインターネット検索結果で自社のショッピングサービスを優遇しているとして、厳しく追及したことがある。
GoogleのAndroidソフトウェアを搭載するスマートフォンには、ブラウザや検索ツール、地図アプリといった特定のGoogleサービスセットがプリインストールされている。Vestager氏は18日、ブリュッセルで開催された「The Consumer and Competition Day」で講演し、スマートフォンが最初から使用可能な状態にあることには利点もあると認めた。問題なのは、消費者がGoogleのライバルの代替品を模索する必要性を感じなくなっている可能性があることだ。
「スマートフォンのメーカーや事業者がインストールするアプリを自ら選択させずに、Googleアプリセットのプリインストールを義務付けることで、Googleは新しいアプリが顧客にリーチする主要な経路の1つを遮断してしまった可能性がある」(Vestager氏)
携帯電話市場におけるGoogleの支配、そして、Amazonと電子書籍出版社の取引の影響に対する調査は、今も続いている。
「GoogleやAmazonが規則を破ったのかどうかは、現時点では分からない。しかし、イノベーションが重要であることは断言できる。消費者、われわれのような独占禁止当局者にとって、それは重要だ」(Vestager氏)
Androidスマートフォンに対するEUの調査は、1年以上前から行われている。その目的は、消費者にとっての利便性の利点と、Googleがスマートフォンメーカーに自ら決定を下す柔軟性を与えていないことの危険性を比較検討することだ。
もちろん、Androidユーザーは自分の使いたいアプリを自由にダウンロードできる。Androidユーザーには、Googleのアプリケーションを使わない自由もある、とGoogleの広報担当者は付け加えた。「ハードウェアメーカーや通信キャリアは、Androidをどう使うかを決めることができる。そして、自分の端末でどのアプリを使うのかを最後に決めるのは消費者だ。われわれはこの問題について、今後も欧州委員会(EC)との話し合いを続けていく」(同広報担当者)
一方のAmazonは、出版社と結んだ契約が競合による電子書籍販売を締め出している恐れがあるとして、2015年6月より同局が調査をしている。
Amazonから本件に関するコメントは得られなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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