柴田氏(サムライト):実は、直近まで営業組織を持っておらず、アウトバウンドの営業は今でも一切やっていません。紹介や問い合わせがほとんどです。ここまで集客できた理由ですが、コンテンツマーケティングの領域でのオウンドメディアはいくつかありましたが、いち早くオウンドメディアに特化して商品展開できたのが一番大きいと感じています。
また、投資家としてのネットワークを活用し、スタートアップ企業のオウンドメディア支援を一気に広げ、実績を積み上げました。「オウンドメディア=サムライト」という認識を企業に持ってもらえたことが、問い合わせにつながったと考えています。利益度外視の思い切った価格で面を取りに行った戦略も功を奏しました。
弊社ではネイティブ広告のネットワーク事業も展開しております。オウンドメディアに掲載した記事を提携する媒体にも提供しており、書いた記事をしっかり読んでもらい、人を連れてくるところまでコミットした設計も、一つの差別化になったと思っています。
池戸氏(サムライト):提携におけるシナジーとしては、朝日新聞が持つ広告主との強力なパイプをもとに、新規販路の拡大が見込める点です。オウンドメディアで大切にしていることは、取材などの一次情報に重点を置いていることです。同社の持つ取材力、編集力を存分に活用することでさらなる事業成長が見込めると判断しました。
柴田氏(サムライト):人材の交流も考えています。コンテンツのチェックとなる校閲体制では、我々は知識や経験がない部隊ですので、朝日新聞のノウハウを活用することができます。また、朝日新聞デジタルをはじめとした朝日グループのさまざまなメディアと、我々のネイティブ広告のネットワークを連携することも可能です。
池戸氏(サムライト):デメリットになるようなことは感じておりません。一つのメディアに紐づくので、顧客によっては離れてしまうケースもあるかもしれませんが、我々が中長期的に掲げている「広告を情報に変える」というミッションを実現するためには、圧倒的にメリットがあると考えています。
山川氏(メディアラボ):新聞社として広告主に幅広く広告商品を売っているのはこれまでも変わりません。メディアとして高く評価してもらっている広告主から、幅広く色を付けずに広告を取っている認識です。このため、サムライトに色がついてしまうとは考えていません。
また、朝日新聞としても、これまで新聞広告を出したことがない中堅企業やスタートアップ系へリーチできる可能性が高まります。つまり、ドアノックツールとして紹介する方法もあるでしょう。新聞広告は一度出したら終わりですが、オウンドメディアは維持して更新するため、継続的な収益の確保が見込めます。
池戸氏(サムライト):オウンドメディアに関しては、マーケティング手段としては当たり前のものになってきたという認識です。ただし、オウンドメディア自体は、一つの場所や手段でしかなく、分散型メディアといわれているFacebook内での企業活動なども最近は活発ですし、我々もコンテンツを活用したマーケティングが主体です。
柴田氏(サムライト):広告的なメッセージと読者が知りたい情報の接点をいかに持たせるかが、オウンドメディア運営における一番の肝だと思っています。企業側の言いたいことばかりでも伝わらないですし、読者だけのことを考えても広告商品として成り立ちません。記事単位で日々調整していく、継続的な改善の世界なのかなと感じます。そのため、企業とは直接やり取りしてコミュニケーションを継続しています。
また、一番最初にオウンドメディアの目的をはっきりさせるのが重要です。「競合がやっているから」「最近流行っているから」と相談を頂き、何のためにやっているのか途中で分からなくなるケースもありました。こうした反省をふまえ、何を目的に、何を成果として運営するかを明確にするようにしています。
池戸氏(サムライト):広告であることをしっかり明記し、読者に嘘をつかないことが必須だと思います。JIAA(一般社団法人日本インタラクティブ広告協会)が策定したガイドラインに則るのが我々の方針です。
ただし、一部の事業者によってネイティブ広告自体が勘違いされてしまっている、ネガティブに取られてしまっている事実もあり、すごく残念に思っています。一方で、我々がこの分野をリードすることで、「なんだ広告かよ」「だまされた」ではなく「広告だけど面白かった」「この企業のサイトに行ってみようかな」と思ってくれる世界観を作っていきたいですね。
柴田氏(サムライト):私は楽天とリクルートで、池戸はセプテーニでデジタルマーケティングを担当していたこともあり、2006年ごろから今までの変遷をずっと見てきました。残念ですが、今の広告は邪魔な存在になっており、広告のあり方ももっと改善されるべきだと考えています。
広告を情報に変えるというミッションは、コンテンツマーケティングという新しい形で実現できると考えていますし、儲かるからではなく、ミッションを守っていく理由が我々にはあります。こういった面も朝日新聞に評価して頂いたのではないでしょうか。
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