欠けているものは何もない。ただ、筆者はiPadがもう少しノートブックに近づくことを望んでいる。ほんの少しだけだが。
2015年の12.9インチiPad Proは史上最大のiPadで、驚くほどのサイズだった。筆者はガラス板を持って歩き回っているような気分になった。しかし、素晴らしいが高価な感圧式スタイラスであるApple Pencilのサポートや4つのスピーカー、側面に接続するキーボードアクセサリなど、優れた特徴もいくつかあった。新iPad Proはそれらすべての機能を備えているだけでなく、それを旧機種のiPad Air 2と同じサイズのボディで利用できる。
奇妙なことに、新iPad Proでは、いくつかの主要な機能が巨大な12.9インチiPad Proから改善されている。そして、それらはかなり意味のある改善となっている。
カメラの性能向上:9.7インチiPad Proのカメラは全体的に改善されている。(本物のフラッシュを使って)4K動画を撮影できる12メガピクセルの背面カメラと、「Retina Flash」を使用可能な5メガピクセルの前面カメラは、「iPhone 6s」に搭載されているものと同じだ。これは重要なことだろうか。iPadをカメラとして使用するユーザーにとっては、重要である。iPadで写真を撮影するという考えをばかにする人もいるかもしれないが、タブレットに最高のカメラが搭載されていることは、マイナス要因ではない(筆者のようにiPadのカメラを即席の文書スキャナとして使用するユーザーにとって、これは間違いなくプラス要因だ)。
スクリーンの性能向上:新iPad Proのディスプレイも素晴らしい。確かに、解像度は旧機種のiPad Air 2と同じだが、反射防止や輝度が著しく向上しているほか、奇妙だが不思議と読書に最適なAppleの「True Tone」自動カラー調節機能も備える。まるで「iOS 9.3」の「Night Shift」を自動化して控えめにしたバージョンのようだが、新iPad Proは環境に合わせて、色温度を絶えず調節する。目障りに感じることはない。非常に微妙な変化なので、True Toneを設定で無効にするまで、この機能が動作していることを忘れるほどだ。まじめな話、反射防止と輝度、色温度調節機能が向上した新iPad Proは屋外で(屋内でも)使用する端末として、iPad Air 2よりはるかに優れている。
しかし、大型iPad Proと比較すると、小さな欠点もいくつかある。新iPad Proは大型iPad Proと同じ「A9X」プロセッサを搭載するが、ベンチマークテストでのパフォーマンスは大型iPad Proより若干劣っていた。ただし、この違いに気づく人間はいないと思う。さらに、RAM容量も大型iPad Proが4Gバイトなのに対し、新iPad Proは半分の2Gバイトだ。筆者は現在のところ、それに起因する問題に全く遭遇していないが、将来も使い続けることを考えると不満を感じる。RAMはマルチタスキングに大きく貢献する。しかし、これらの機能が控えめに抑えられたのは、新iPad Proが大型iPad Proより確実に優れた選択肢になってしまうのを防ぐためではないか、という気もする。もちろん新iPad Proのピクセル密度は大型iPad Proと同じだが、ピクセル数は少ない。大きな芸術作品の場合は、12.9インチモデルの方が単純により綺麗に表示できる。
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