サンバーナーディーノ銃乱射事件のSyed Farook容疑者が使っていた「iPhone 5c」のロック解除をめぐって米連邦捜査局(FBI)とAppleの間で論争があったが、結局、FBIに同社の助けは必要ないかもしれない。
米司法省(DOJ)は米国時間3月21日、申し立てを提出し、22日に予定されていた審理の中止を求めた。この審理では、暗号化されたiPhone 5cのロック解除作業に協力するようAppleに強制することが米連邦裁判所の命令によって可能かを判断することになっていた。この命令を出したのと同じ判事であるSheri Pym判事によって、DOJの申し立ては認められた。
企業が自社のプライバシー保護機能を突破するソフトウェアを開発するよう裁判所が政府の要請で命じることの是非について、激しい論争が繰り広げられてきたが、今回の審理中止は奇妙な展開である。
ただし、この件はまだ終わっていないのかもしれない。なぜなら、FBIには、その手法がうまくいくことを確認する作業が残っているからだ。
DOJの弁護団は、「Farook容疑者のiPhoneのデータを破壊しない実行可能な方法かどうかを確かめるため、テストを実施する必要がある」と申し立てで述べた。「その方法が実行可能なら、この件のAll Writs Act(全令状法)命令で述べられたApple Inc.の協力を求める必要はなくなるはずだ」(DOJの弁護団)
DOJの広報担当者Melanie Newman氏は、「われわれは一貫して慎重で楽観的だ」と声明で述べた。「裁判所にこの選択肢を模索する時間を求めたのは、そのためである。この解決法がうまくいけば、われわれは容疑者の携帯電話を調べて、14人の死者と22人の負傷者を出したテロリスト攻撃の捜査を続けることができる」(Newman氏)
DOJは同省に協力している部外者が誰なのかについては、コメントを控えた。また、DOJは、容疑者のiPhoneをハッキングすることについての状況報告を4月15日までにするよう裁判所から命じられたと述べている。
Appleの弁護団は21日夕方、今回の審理中止を法的勝利と位置づけるのは時期尚早と報道陣との電話会見で語るとともに、同社が2週間以内に同じ件で出廷する可能性があることをあらためて述べた。さらにAppleの弁護団は、端末内部を探るためにFBIが使用する可能性があるiPhoneの脆弱性の特性について同局が説明していないと続け、同社は今回の進展を同日昼に知ったと付け加えた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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