Appleはまだ法廷に立ってはいない。しかし、最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は米国時間3月21日、同社の新製品発表イベントでセキュリティに関する弁論を行った。
こうしたイベントは通常、優れた製品機能やマイルストーンの説明で始まるものだ。しかし、Cook氏は今回、セキュリティの問題でAppleは米連邦政府と対立する気はないが、かといって引き下がるつもりもないという話から始めた。
「これはわれわれすべてに影響が及ぶ問題であり、Appleがこの責任から逃げることはない」と、Cook氏は述べた。
Appleは目下、プライバシーをめぐって同社史上最大の戦いに直面しており、その影響はテクノロジー業界全体、そして消費者にも及ぶ可能性がある。さらには今後、デジタルセキュリティと米国の国家安全保障の両方の未来にとって最も重要な法廷闘争のひとつになるかもしれない。
これまでの経緯を簡単にまとめると、2月16日に出された裁判所命令は、Appleに「iOS」ソフトウェアのカスタムバージョンを開発し、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件に関連づけられている「iPhone 5c」のロックを米連邦捜査局(FBI)が解除するのに協力するよう求めるものだった。Appleはこの命令が憲法違反であり、何百万台にものぼる「iPhone」のセキュリティを損ないかねないと反論した。これに対し米司法省は、Appleは自社のブランドを守りたいという意識が強く、犯罪やテロと戦う連邦政府の能力を弱めていると同社を非難した。
Cook氏は21日、Appleの従業員、幹部、愛好者からなる好意的な聴衆に向けて語りかけた。
「米国全土から多くの支持をいただいたことに、恐縮し深く感謝している」とCook氏は述べた。
Appleは翌22日、カリフォルニア州リバーサイドの法廷で、より批判的な聴衆の前に立ち、iPhoneのセキュリティ機能解除が強制されるべきではないとの主張を行うことになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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