ものづくりゲーム「Minecraft」が、新興企業や科学者らの設計する人工知能(AI)ソフトウェアのテストベッドとなる予定だ。
Minecraftはストックホルムを拠点とするMojangが開発したゲーム。Microsoftは2014年にMojangを25億ドルで買収している。Minecraftは今やシンプルなものづくりゲームというそのルーツをはるかに超え、変更や追加開発を経て保全やリソース管理などの話題について学生らに指導するための教育用ツールとしても使用することができる。
そして現在、このプラットフォームがAIの分野でも活用されようとしている。
Microsoftは米国時間3月13日、Minecraftに基づく新しいプラットフォーム「Project AIX」が、科学者らによるAIシステムの「トレーニング」用に使用されていると述べた。Minecraft環境内で、AIシステムはさまざまな動作を学習するという。仮想世界で、例えば溶岩や川に飛び込む経験を何度も繰り返しながら山を登る方法を学習できるテスターAIが開発されている。
「エージェントは、環境や、何を達成するべきなのかさえもまったく知らない状態で学習を開始する」とMicrosoftは述べている。「周囲の環境を理解し、何が重要(登ること)で何が重要でないか(例えば、明るさ)を考える必要がある。(中略)目標の全体または一部を達成したときに、徐々に得られる見返りを通して理解していく必要がある」(Microsoft)
AIXは、リード研究者であるKatja Hofmann氏らが開発したプラットフォームだ。Hofmann氏は、AIエージェントのテストにシンプルなゲームしか利用できない他のプログラムの限界に不満を感じたことから、AIXのアイデアを思いついたという。
Minecraftは他のプログラムと比べて、深いテストを実施するために十分に高度であるとみなされており、実際にテスト用ロボットを構築するより大幅に低コストでもある。
Hofmann氏は次のように述べた。「Minecraftは非常にオープンな世界であるため、このような種類の研究用のプラットフォームとして完璧だ。サバイバルモードを使用したり、友人と『バトルを構築』したり、コースを実行したり、独自のゲームを実装したりできる」
同プラットフォームは、MinecraftのJava版のmodと、Minecraft環境でAIの動作を支援する高度なコードで構成されている。同プラットフォームは「Windows」「Linux」「Mac OS X」に対応し、研究者らは利用したいプログラミング言語で実行するよう独自の人工知能エージェントを調整することができる。
AIXは現在、一部の研究者を対象にプライベートベータ版として提供されているが、2016年夏にはオープンソースコミュニティー向けにリリースされる予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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