朝日インタラクティブが2月18日に開催した「Target 2020~テクノロジーがもたらすパラダイムシフト~」をテーマにしたイベント「CNET Japan Live 2016」で、「ドローンを活用した新たなコミュニケーション」と題したセッションが開催された。ブイキューブロボティクス・ジャパン取締役の船津宏樹氏が、業務用ドローンを活用した新たな災害対策、保守・メンテナンスなどのソリューション事業を事例を交えて紹介した。
ブイキューブロボティクス・ジャパンは、ウェブやテレビ会議用のクラウドサービス「V-CUBE」を提供するブイキューブの子会社。ブイキューブが、ドローンを中心としたロボティクス技術を提供する「Rapyuta Robotics」(Rapyuta)とともにさまざまな実証実験に取り組み、ドローン関連のソリューションサービスのニーズや課題を把握する中、グループとしてのさらなる事業成長を目指すため、意思決定の迅速化と機動力、柔軟性を高めることを目的に、2015年10月に設立した。
「ウェブやテレビ会議サービスを手がけている会社が、なぜドローン事業を――と思われるかもしれないが、ブイキューブの代表取締役である間下(直晃氏)がドローンに興味を持っていたことがきっかけ。ドローンという端末が人の目、口、耳となり、離れたところに情報を伝達していける要素に着目した。ブイキューブの映像コミュニケーション技術と出資していたRapyutaのコンピューティング技術を組み合わせることで、コミュニケーションの可能性をさらに高められるのではないかと考えた」と、船津氏は会社設立の経緯とビジョンを説明する。
しかし、日本におけるドローンを取り巻く環境は、法律上の制限が多い。「技術としてドローンを活用できることは多い。しかし、日本の法律ではまだできない部分がある。2015年12月の航空法改定をスタートに、道路交通法や電波法などが整備されれば、ドローンはもっと活用できる」と船津氏。農林水産、測量・観測、輸送・物流、撮影などのすでに運用が始まっている分野のほかに、巡視点検、捜索・救助、警備・監視、危険区域作業、災害対策など、特に業務用途での利活用が拡大していく見通しを示唆した。
また、現状のドローンの課題として3点を挙げた。まずはドローンの映像は遠隔地で見られないこと。「今のドローンでは、スマートフォンなど操作している端末からだけしかモニタリングができない」と船津氏。
2点目は録画はできるがリアルタイムで映像を確認できないこと。「撮影中に操縦者が墜落させたり壊してしまったりしてデータが取れないことがある。また、撮影後の映像を専門家が後から確認した時、撮ってほしい部分が撮影されていなかったこともある」と指摘する。そして人が操作するため事故リスクが高いことが3つ目の課題だ。
こうした課題に有効なのが、ドローンとウェブ会議を組み合わせたソリューションだという。「オペレーターが現場にドローンを飛ばせば、その場の状況を、遠隔地にいても端末を通してリアルタイムに確認ができる。高所の保安点検や災害現場をリアルタイムに見ることで、現場に必要なものを事前に把握できる。ダムの巡視点検では、撮影後に持ち帰る問題が発生する可能性もあるが、現場に専門家が行かなくても、会議室にいながらリアルタイムで現場を見て指示を出すこともできる。リアルタイム性が必要なものに対して、我々のソリューションが生きてくるのではないかと考えている」と船津氏は強調する。
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