2015年は、官邸へのドローン墜落、ドローン少年逮捕など大手メディアが煽ったこともあり、日本ではドローンがネガティブなものとして浸透してしまった感が否めない。
一方、海外では資金力豊富な大手企業がドローン関連事業に参入するなど、ドローンを取り巻く環境は目まぐるしく変化し始めた年でもあった。また、日本でもドローンの可能性に魅せられ、ドローン関連の取り組みを始めた人たちは少なくない。2016年はこうした取り組みが加速する年になりそうだ。
そこで今回は、2016年に日本と海外で大きな変化をもたらしそうな動きを紹介したい。
まず日本国内で注目したい取り組みは、慶應義塾大学SFCでこのほど設立された「ドローン社会共創コンソーシアム」だ。同コンソーシアムではドローン技術の開発だけでなく、その社会応用までを守備範囲とする産学連携の促進を目指す。
コンソーシアムの担当である政策・メディア研究科特任助教の南政樹氏は、25年前に登場したインターネットが社会に浸透し、現代が「インターネット前提社会」になったように、ドローンの登場により将来は「ドローン前提社会」になっていくだろうと予想する。
その上で「(コンソーシアムでは)ドローンが当たり前になったとき、どんな社会が創出されるのか、またそのためにはどのようなことをルールや規範として大切にしなければならないか、新たなビジネスの可能性がどういうドメインで広がっていくか、そういったドローンの存在を当たり前とした立場で研究活動を実施していく」と説明。
具体的なプロジェクトはまだ明らかにされていないが、このほど同コンソーシアムでSFC研究所上席所員に抜擢されたコロプラ取締役の千葉功太郎氏が「ドローンにSIMカードを入れてドローン同士をネットワークでつなぎたい」と語っていることから、ドローンのネットワーク連携の研究が検討されていると推測できる。
関東圏のドローン開発拠点として、SFCのほかにもう一つ注目したい場所がある。千葉県木更津市だ。慶應SFCのようなオフィシャルなものではないが、各分野の強力な専門家が集まった非公開コンソーシアムがある。このコンソーシアムを率いるのが木更津のドロニスト・金井健氏だ。金井氏は世界最速の輸送用大型ドローンを開発する一方で、木更津をドローン開発のハブにするための取り組みにも注力している。
ドローンの利用を促進・普及するには、ドローンそのものの開発だけではなく、コントロールやメンテナンスなど運営や周辺システムをパッケージ化する必要がある。こうした開発をさまざまな専門家が知恵を出し合い、形にしていく地道な作業が日々続けられている。2015年にはさまざまなプロジェクトが計画されており、近い将来木更津発のドローンが世界を驚かすことになるだろう。
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