事業を売却したあるIT起業家たちが選んだ次の道は、クラフトチョコレートだった──。2月11日、ダンデライオン チョコレート ジャパンは、海外初進出となるファクトリー&カフェをオープンした。場所は東京・蔵前(台東区)だ。
ダンデライオンは、2010年にサンフランシスコで生まれた。カカオとケインシュガーのみで作り上げたこだわりのチョコレートバー「Bean to Bar」で人気を集める。既存の製法との違いは、牛乳や類似する添加物を使用しないこと。米国のクラフトフードブームの中で新しく生まれたチョコレートだ。
「サンフランシスコ」「ガーレジ」と聞けば、Apple、Google、Hewlett Packardらの生い立ちが浮かぶかもしれない。ダンデライオンもそんなエピソードにあやかったのか、IT起業家だったトッド・マソニス氏とキャメロン・リング氏らが共同運営していたウェブ事業の売却を機に、「新しいことに挑戦しよう」とガレージでクラフトチョコレートを作り始めたのだという。
当時、そんなこだわったチョコレートを作る人は少なく、ネットで情報を集め、同様の思いを持つ人々とコミュニティを通じて情報を共有し、レシピを改良しながら作り上げた。
トッド氏は「機械も自分たちで作った。楽しくて始めたことだったが、家族、友人が美味しいといってくれたので本格的にやりはじめた。マーケットに出すようになって賞をもらい、規模を大きくしてチョコレート生産を始めた」と振り返った。
豆の選別から始まるBean to Barは、シングルオリジンと呼ばれる、ブレンドされていない生産地の明快な豆を含んでいるのが特徴で、豆の選別、焙煎、磨砕、調合、成形といった過程のすべてが手作業で行われる。良質なカカオ豆を作るには、「品種」「栽培」「発酵」の3つの組み合わせが大切で、つねに新たな農家との出会いを求めているという。
トッド氏は、「15年前、米国ではたった1社だけが豆からチョコレートをつくっていたが、今は200を超える会社がそうしてつくっている。いってみればクラフトビールやクラフトコーヒーで起きているムーブメントがチョコレートでも起きている」と説明する。ダンデライオンのこだわりの一つはカカオ豆で、「最良の豆を探しているので、世界中を旅する必要がある」とした。
蔵前にオープンしたファクトリー&カフェは、1階がチョコレートファクトリーとスタンド、2階はカフェとワークショップスペースを併設したつくりだ。チョコレートの製造工程を間近で見ながら、サンフランシスコ本店の味を再現したチョコレートドリンクやスイーツを楽しめる。
ファクトリー&カフェでは、チョコレートバーやカフェ・スイーツが楽しめるだけでなく、チョコレート作りの工程が楽しめるファクトリーやカカオ豆の選別や焙煎からこだわったチョコレートづくりのワークショップも楽しめる。
ワークショップも3月から開催予定だ。ファクトリーの中に入って間近に工程が見られる「ファクトリーツアー」とBean to Barを学べる「チョコレートクラス」があり、いずれも申し込み制となっている。
日本では、季節によって変わるチョコレートが購入でき、現在はドミニカ産、マダガスカル産、ベネズエラ産の3種類がラインアップされている。豆比率は70%で、価格は1200円(税別)。カフェメニューは、ホットチョコレートが530円~、クッキーが330円~。
なお、同じ台東区で、大江戸線の清澄白河には、先高い人気を誇るブルーボトル・コーヒーがある。ブルーボトル・コーヒーは、GoogleやTwitter、Uber、Instagramなど大企業が投資したことで知られる。2015年2月に海外進出1号店として清澄白河にロースタリー(焙煎所)&カフェをオープンし、話題となった。せっかくなので、両方のショップに足を運んでみるのもいいかもしれない。
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