Appleが過去最高の四半期利益を再び記録したのだから、最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は勝利の美酒に酔っているに違いない、と思う人もいるかもしれない。
しかし、Cook氏は「厳しい状況」「見通しが暗い」といった言葉を使って、事業環境を説明した。
同社が米国時間1月26日に発表した2016会計年度第1四半期決算と現四半期の予測の差は極めて大きく、過去最高を記録した利益のことよりも、Appleがこの勢いを維持できるのかという懸念の方が勝っていた。売上高の減少(10年ぶり)と「iPhone」販売台数の低下が予想されていることを考えると、Appleは壁にぶち当たったように思える。
第1四半期にiPhoneの販売台数が前年同期比で微増に留まったことは、この巨大なドル箱製品の好調さを維持するために、Appleがさまざまな難問に直面しているということの証だ。同様に、第1四半期(2015年12月末締め)の業績は、人々がついにiPhoneを含むスマートフォンを忘れ去ろうとしているのかもしれないということも反映している。
明らかになったことは、それだけではない。本記事では、仮想現実から、アクティブ端末数が世界中で10億台というとてつもない数字に達したことまで、Cook氏がAppleの投資家との電話会議で明かした6つの興味深い情報を紹介する。
Cook氏はAppleが世界中で直面している状況について、忌憚なく語った。
同氏は、「われわれは厳しい状況を目の当たりにしている。当社が関与しているほぼすべての場所で、過去に見たことのない状況が発生している」と述べた。また、ブラジルやカナダ、日本を含む主要市場が景気後退や物価下落、通貨価値低下の悪影響を受けたことを指摘している。
Appleの売上高の66%は米国外からもたらされているため、これは極めて重大なことだ、とCook氏は言う。さらに、同氏は第1四半期の売上高が伸びなかった原因として、通貨変動を挙げた。売上高は759億ドルだったが、為替レートを考慮しなければ808億ドルだった、とCook氏は言及している。
この1年間、Appleの最大の市場は中国だったが、景気の悪化により人々が高価なiPhoneの購入を躊躇するようになったことで、中国でも販売台数が減少し始めている。
しかしCook氏は、Appleが中国で「過去最高」の業績を上げ、売上高は前年同期比で14%増加したことを指摘した。だが、勢いが減速していることは間違いない。1年前の成長率は99%で、2015会計年度第4四半期の売上高成長率は70%だった。
「中国市場の長期的な可能性と目の前に広がる大きな機会の数々について、われわれは今も強い確信を抱いている。投資計画を変えるつもりはない」(同氏)
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