またエントリークラスの製品も、先進国ではプリペイド向け製品として学生や低所得者層に売れている。大手メーカーの製品であればデザインや質感もよいし、なによりもブランド力がある。日本でも1万円前後の格安スマートフォンがいくつか出てきているが、携帯電話から乗り換えSNSを使う程度のライトユースなら十分実用的だ。
このクラスの製品の各社の動きを見てみると、SamsungはGalaxy S6シリーズ、Galaxy Noteシリーズ以外に「Galaxy A」「Galaxy E」「Galaxy J」と3つのラインアップを提供。モデル数は10機種を超える。またHuaweiはオンライン販売を中心に展開している「Honor」を中国では約10機種、海外でも数モデルを販売している。Xiaomiも今や注力しているのはハイエンドのMiシリーズではなく、2万円以下のRedMi(紅米)シリーズだ。
他社の動きを見てもASUSはミッドレンジのZenFoneのバリエーションを増大。TCL/Alcatelも同様にミッドレンジのidolシリーズを複数展開している。これらの製品はiPhoneほど大きな話題にならないものの、各国で一定の販売数を確実に得ておりユーザー数を増やしている。
つまり2016年はミッドレンジやエントリーモデルで勝負できるメーカーが販売数を伸ばすだろう。ハイエンド製品は先進国以外で数を伸ばすのが難しいのに対し、手頃な価格のモデルは新興国で数を出しつつ、先進国でも学生向けや2台目需要として数を伸ばしそうだ。「スマートフォンは通信事業者と2年契約してハイエンド製品を1台購入する」時代から、「プライベート用にコンビニで2台目を数千円で買う」そんなことも当たり前になっていくかもしれない。
日本では総務省の料金引き下げタスクフォースの結果、大手通信事業者の通信料引き下げが始まる。またスマートフォンの0円販売もなくなる見込みだ。そうなると各社はポイントの乱発で実質的に端末価格を割引するという動きを起こすかもしれない。
だがSIMフリーのスマートフォンを2~3万円で買い、MVNOと契約し毎月数千円の料金で済ませる、というシンプルな使い方、契約方法も注目を浴びやすくなるだろう。10万円近いスマートフォンは確かに高性能だ。だが一般消費者の中にはそこまでの機能を求めない人も多い。2016年は海外メーカーのミッドレンジクラスのSIMフリースマートフォンの日本参入がさらに増えるかもしれない。
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