レノボ“大和研究所”内部に見る「ThinkPad」の作り方

レノボ・ジャパン大和研究所が入るみなとみらいセンタービル

レノボ・ジャパン大和研究所が入るみなとみらいセンタービル

 レノボ・ジャパンは、横浜市みなとみらいにある“大和研究所”の試験施設の様子を公開した。

 日本IBM時代のThinkPadは、神奈川県大和市の大和研究所で開発されていたが、2005年にレノボによって、IBMのPC事業が買収されてからも、しばらくの間は、日本IBMの大和研究所内に間借りをしたままだった。2010年に開発拠点を現在のみなとみらいに移転。2011年から実験施設なども稼働させたが、そのまま大和研究所の名前を残しており、現在でも、横浜事業所大和研究所と呼んでいる。

内藤在正氏
レノボ・ジャパン 取締役副社長 内藤在正氏

 レノボ・ジャパン取締役副社長の内藤在正氏は、「大和研究所には、日本IBM時代からのThinkPadの開発部隊がほぼそのまま残っており、開発に対する考え方も同じものを継承し、変わらぬ形で開発を続けている。われわれが大和研究所と名乗り続けたいというよりも、ワールドワイドの営業部門が横浜というよりも“ヤマト”の方が通用するといってくれているのが理由。ODMメーカーにも“ヤマト”の呼称が定着している」と説明した。

 「ThinkPadは、プロダクティビティのツールとして顧客の生産性を高め、競争力を発揮してもらうための機械であることを考えて開発してきた製品。日本の企業では会社の中で働くことが効率的だという古典的な発想があるが、米国ではモバイル環境で利用することで効率化を追求している。ThinkPadを日本の顧客にもぜひ活用してもらいたい。そして、日本のサプライヤーとともに日本からの技術を一緒に開発し、これを世界に発信したい」(内藤氏)

 大和研究所は、みなとみらいセンタービルの2階に設置されているが、18階と20~21階には開発設計部門が入居しており、これらの部門と一体化した形で研究所が存在していることは、開発の効率化や品質向上などに大きな成果があるという。

 みなとみらいセンタービルの2階フロアで4つに分割された部屋には、振動衝撃試験設計ラボ、耐久試験設計ラボ、無線性能試験設計ラボ、音響試験設計ラボ、EMC試験設計ラボ、耐久試験設計ラボ、信頼性試験設計ラボ、電磁波試験設計ラボを配置。堅牢性、耐久性、信頼性、性能優位性という4つの観点から試験している。

 堅牢性では、繰り返し衝撃試験、ひねり試験、衝撃振動試験などを実施。耐久性については、LCD開閉試験、LCDプッシュ試験などを実施している。信頼性では、ほこり試験、拷問試験、環境試験など。そして、性能優位性では、無線アンテナデザイン試験、熱設計試験、騒音試験などを行う。

小林康浩氏
レノボ・ジャパン 品質開発製品保証テスト技術 シニアマネージャー 小林康浩氏

 ThinkPadは、開発段階で量産試作機を含めて、3回に渡って試験を実施しているという。「細かいものを含めると200以上の試験項目がある。それでもまだ足りないものがある。市場の要求にあわせて、新たな試験を追加したり、新たな基準づくりをしたりしている」(レノボ・ジャパン 品質開発製品保証テスト技術 シニアマネージャー 小林康浩氏)

 大和研究所では、NECブランドの「LaVie」シリーズを試験する場合もある。これは、ThinkPadとの共通部分に関するテストを行ったり、ThinkPadとLaVieを比較するために条件を同じにして試験を行ったりするなどの場合だという。

大きさでも過去1、2を争う新製品

高木孝之氏
レノボ・ジャパン コマーシャル製品事業部 高木孝之氏

 レノボ・ジャヤパンでは先頃、モバイルワークステーションである「ThinkPad P50/P70」を発表した。「史上最強のThinkPadであるとともに大きさでも過去1、2を争う製品」(レノボ・ジャパン コマーシャル製品事業部 高木孝之氏)と位置付ける。

 今回の大和研究所の取材時には、このThinkPad P50/P70の試験が各ラボで行われていた。

 「高いグラフィック性能を実現しながら、極限の薄さと軽量化を図ったのがThinkPad P50/P70。性能が高いグラフィックカードを薄型の筐体に搭載すると、グラフィックカードの発熱に耐えられないため、性能を落としたグラフィックカードを採用するというメーカーもある。ThinkPad P50/P70では、CPUとGPUクーラーを連結し、2つのファンの回転を自動制御することで、パフォーマンスを犠牲にせずに冷却性や静音性を実現するFLEX Peformance Coolingを搭載しているほか、大和研究所での拷問テストをクリアし、米国防総省が要求するMil規格に対応した堅牢性を実現している」とする。

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