(編集部注:米CNETによる「iPad Pro」のレビューを3回に分けて翻訳して公開します。第1回は11月20日に、第2回は11月24日に公開されています)
第2回より続く。
iPad Proに何より必要なのはキラーアプリだ。本レビュー記事の執筆時点(iPad Pro発売の何日も前)で、同タブレットの機能を活用できるように最適化されたアプリはほとんどない。しかし、現在最適化されているアプリは、その高解像度を活かし、可能性を示している。Adobeのクリエイティブツール群は、iPad Proの大画面や、「Apple Pencil」との互換性を効果的に活用している。「Procreate」などのアートアプリでは、キャンバスサイズが大きくなった。「iMovie」は操作しやすくなったように感じられ、ビデオクリップの視聴もこれまでより簡単になり、動画編集もよりスムーズに処理できるようになっている。「Evernote」などのアプリは、一度に非常に多くの情報を管理できるため、デスクトップアプリケーションとほとんど変わらないような使用感になりつつある。
とはいえ、「App Store」で提供されるアプリという制限や、iOS 9における画面分割時の制限がある。動画編集ではそれが問題になる。米CNETのシニアプロデューサーであるAriel Nunezは、米CNETの動画の1つをiPad ProのiMovieで編集したところ、「iMac」での作業とはずいぶん勝手が違うと感じた。Nunezは、「タッチとピンチジェスチャーによる編集作業は、多くの手順を踏まなければならないデスクトップシステムでの作業より速くて簡単だ」と述べたが、iMovieの「必要最小限の編集機能」に当惑したという。「プレビューウィンドウもステレオ編集機能もない。フィルタやトランジションの種類も少ない。合成やキーフレーミングの機能もない」(Nunez)。「動画のプレビューは簡単」で、単純な編集が手早くできることはNunezも認めており、「ボイスオーバーやライブキャプチャの記録は本当に簡単だ。レンダリングの実行はない」としている。だがNunezの考えでは、iMovieは手軽なツールであって、長尺の作品や複雑な作品を制作する手段ではないという。「複雑な編集が必要なドキュメンタリーやミュージックビデオを自分が制作している姿は想像できない」(Nunez)
iMovieは、本稿執筆時点で見つかった数少ないiPad Pro向け動画編集アプリの1つだ。今後、他にも動画編集アプリが登場して、独自の周辺機器や入力機器を利用するのだろうか。現時点ではわからない。それはあらゆるプロフェッショナルにとっての問題だ。
「Microsoft Office」も興味深い事例である。本レビュー記事の執筆時点で、iPad Proに最適化されたバージョンはまだ公開されていない。しかし、実際にリリースされたときには、「Office 365」のサブスクリプションが必要になるだろう。小型のiPadと異なり、フリーミアムバージョン、つまりOfficeアプリの「必要な機能の大半を利用できる」バージョンは使えないはずだ。確かに、サブスクリプション料金は勤め先(や学校)が払ってくれるだろうが、これは(少なくとも発売からしばらくの間)iPad Proに関して注意すべき事柄の1つでしかない。
iOS 9でのマルチタスキングは、画面を分割して2つのアプリを同時に表示させる(「Split View」)ことで可能になる。「iPad mini 4」や「iPad Air 2」でも利用できるが、iPad Proのランドスケープモードでは、いっそう便利に感じられる。2つのアプリを並べて開くことができるが、それぞれが1台分のiPadの画面と同じように思えるほどだ。筆者は、記事を書きながらメモを見たり、一方の画面でレビューを編集しながらもう一方で別のバージョンを変更したりすることができた。電子メールやTwitterの分割画面をスライドして、サイドペインのようになるまで幅を狭めても、メッセージを利用するのに十分な画面スペースがある(「iPhone 6s」の画面より広い)。ディスプレイの残りの部分は広々としており、ここで同時に作業を進めることができる。
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