言語は英語、中国語、韓国語の3種類に対応しており、利用者は外国人の観光をサポートする「鳥取市国際観光客サポートセンター」であらかじめ言語を選んだ後、それぞれの言語に対応したスマートフォンを、タクシーの客席に設置して利用する。なお実証期間は、11月18日から2016年3月末までとのことだ。
鳥取ハイヤー共同組合の理事長である澤耕司氏によると、鳥取市では2011年より外国人観光客に向け、3時間1000円で利用できる「1000円タクシー」を提供するとともに、1000円タクシーのドライバーには鳥取の観光に関するプロフェッショナルを育てる認定制度「観光マイスター」を取得してもらうなど、訪日客への対応に力を入れている。そうした外国人観光客に向けたタクシー業界の取り組みをKDDI側が知り、「タクシー業界の熱い思いを聞き及んだ」(宇佐見氏)ことから、実証の場として鳥取市を選んだという。
鳥取は、韓国ドラマの舞台となった影響から、これまでは韓国人が多く訪れていた。だが2014年頃から台湾、香港、中国などの観光客も増加するなど、外国人観光客の多様化が進んでいると澤氏は話す。鳥取国際観光客サポートセンターに訪れる人も増加傾向にあり、2015年8月には韓国人が299人、台湾人300人、香港人81人、中国人54人、そして外国人全体で773人が訪れているとのことだ。
しかしながら、観光マイスターを取得したドライバーは、挨拶など最低限の外国語を話すことはできても、鳥取の歴史や自然などの魅力を説明できるだけの外国語会話能力を持つ人はいないという。鳥取市の経済観光部 部長である大田斉之氏も、「これまで関係機関と連携し、手指しの会話帳を使うなどして外国人向けの対応を進めてきたが、やはり難しさがあった」と、言語の壁が非常に大きいことを訴えている。
そうしたことから大田氏は、「今回の実証を皮切りに、全国のインバウンド対策に波及することを期待している」と話すなど、社会実証で得た成果が取り組みが鳥取の観光需要拡大、ひいては外国人観光客の利便性促進へとつながることに、高い期待を示している。
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