11月5日にはKDDIが決算発表会を開催。同社の第2四半期決算は、営業収益が前年同期比6%増の2兆1518億円、営業利益は18%増の4514円。その増収要因も、他社とは異なりサービスだけでなく、通信のARPA(Average Revenue Per Account。利用者1人当たりの売上)が伸びていることが大きい。
純増数も同四半期で43.4万、上期合計で95万と大きく伸ばしており、タブレットの契約増加もあって1人当たりのモバイルデバイス数も1.39台へと拡大。スマートフォン浸透率も56%を超えるなど順調な伸びを示しており、それらが通信料収入の拡大を支えているようだ。
この一方で、気になるのが「au WALLET」が伸び悩んでいること。au WALLETはカードの発行数こそ1580万と大きく伸びているものの、決済が直接絡まず、現金でも対応できる「Tポイント」などのポイントカードと、高付加価値なクレジットカードの間に挟まれ、思うように利用が伸びておらず利用率の低さが大きな課題となっているようだ。
KDDI代表取締役社長の田中孝司氏によると、au WALLET事業は今期赤字を想定しており、来期での黒字化を目指したいとしている。消費者に馴染みの薄いプリペイドカード決済をいかに定着させ、好循環へとつなげるかは、同社の今後の成長を見据える上で大きな課題となってくるだろう。
ちなみに今回の決算説明会で田中氏は、他社に先駆けて通話時間限定の通話定額プラン「スーパーカケホ」を導入したほか、ライトユーザーが多いとされるジュニアやシニア向けに、それぞれ専用のスマートフォン「miraie」「BASIO」と、1Gバイトを切る専用の料金プランを提供していることをアピール。
ユーザーセグメントに応じた多様な料金プランを提供していることをしきりに訴えていたのが印象的だった。中でもmiraie、BASIOの契約者は順調に伸びており、販売台数は「2桁万台」(田中氏)にのぼるとのことだ。
他にも、「長期優待データギフト」や「アップグレードプログラム」など、長期利用者に向けた施策を実施していることをアピールしていたが、そこにはやはり、総務省のタスクフォースが大きく影響しているといえるだろう。
田中氏はタスクフォースの議論に関して、「たまたま首相発言と同日にスーパーカケホを発表したが、まだ足りない部分もあると認識している。もう少し議論が進んでから話ができれば」と、慎重な姿勢を見せつつも、「至らないとの指摘もあるので、それは真摯に意見を聞いて改善を加えていく」と、議論の結果に応じて対応を進めていく考えを示している。
一方で田中氏は、囲み取材においてこの件に質問が及ぶと、「安すぎるプランを出せば、MVNOにも大きな影響が及ぶ。長期利用者を過度に優遇すれば競争がとまってしまう。矛盾している議論だらけでよく分からない」と話すなど、国が主導で料金引き下げの議論が起きていることに関しては不満がある様子を見せている。
企業としての成長と料金引き下げのバランスをいかに取っていくか、3キャリアにとっては難しい選択が迫られているといえそうだ。
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