11月4日に第2四半期決算を発表したソフトバンクグループは、営業収益は前年同期比10%増の4兆4238億円だが、営業利益は23.9%減の4266億円と、増収減益の結果となった。
増収要因はヤフーがアスクルを子会社化したことや、米Sprintの売上が伸びたことなどの影響が大きい。一方で減益の要因は、2014年にはアリババの上場による一時益があったが、今年はそれがなくなった影響などで、それを除けば業績は好調だとしている。
ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏が、今回の決算説明会で最も時間を割いて説明していたのは、やはり米Sprintの業績回復に関する内容だった。先に触れた通り、Sprintは売上が伸びているほか、ポストペイド契約数も回復しており、今四半期は55.3万の純増に至ったとのこと。
中でも高い収益源となる、スマートフォンなどの携帯電話端末契約者は23.7万の純増を記録し、解約率も「Sprintの創業以来、最も小さい」(孫氏)という1.54%に達するなど、大幅な改善が見られるとのことだ。
またSprintでは現在、長期的に契約し、確実にお金を支払ってくれるプライムカスタマーの獲得に力を入れているそうで、従来Sprintが純増を増やすために獲得してきた、信用が低く解約率も高いサブプライムカスタマーを減らす施策に出ているとのこと。そうしたユーザーの選別も、業績回復に大きく影響しているようだ。
さらに今後に向けては、毎年2千数百億円もの規模での固定費(OPEX)の削減、孫氏が自ら設計に携わっているというネットワークの改善、そして端末をリースで販売する際に発生する、収支のギャップを埋めるリースカンパニーの設立などによって、資金調達の多様化を進めるとしている。3つの施策によって負債を減らしつつ、純利益を拡大していくようだ。
ただし、こうした施策を打ってもなお、Sprintの業績が大きく改善するには時間がかかる。それゆえ重要となってくるのは、現在の主力事業である国内の通信事業だ。こちらも売上高が5.6%増の1兆5039億円、営業利益が5.9%増の4247億円と伸びてはいる。
だが、通信関連のARPUは前年同期比で40円減の4190円と伸び悩み傾向にあるようだ。一方で、伸びを支えているのが「サービスARPU」になるそうで、こちらは前年比60円増の540円と、通信ARPUの落ち込みを補う形で伸びているようだ。
ただし、移動通信サービス全体では純増数が30万のマイナス、主要回線に絞っても他キャリアより大幅に少ない3.9万の純増にとどまるなど、依然として足元の契約獲得では苦戦している状況が読み取れる。
孫氏は「(純増数は)3社ともに大した数ではない」と強気の姿勢を見せるが、ソフトバンクはMVNOに向けた取り組みがあまり進んでいないだけに、他社がMVNOで純増を伸ばしている現状を見ると、この分野での出遅れが後々に響いてくる可能性も十分考えられるだろう。
また、孫氏は今回の決算説明会で、総務省のタスクフォースの議論に関しても言及している。その内容は、Sprintを運営していることから、米国と比べ日本の携帯電話通信品質がはるかに良く、それでいて安いということ。そして販売奨励金の存在によって、世界一iPhoneが安く買えるということである。
タスクフォースの議論においても、孫氏が述べている日本の通信品質は高い評価を得ているようだ。しかし、端末と通信の一体提供による販売奨励金での割引販売に関してはかなり厳しい意見が飛び交っており、中でも3キャリアがiPhoneを特別に優遇する施策を打っていることを問題視する声は多く上げられている。
ソフトバンクはiPhoneでシェアを伸ばしてきただけに、タスクフォースの議論の結果によってiPhoneの優遇販売が難しくなるとなれば、大きな痛手を被ることになるかもしれない。
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