ドコモが4年ぶりに好転、ソフトバンクは米国事業を再建へ--携帯キャリア3社の決算を読み解く

 7月末から8月初旬にかけて、携帯電話大手3社の決算が相次いで発表された。NTTドコモが4年ぶりに増収増益を達成するなど、これまでとは一転して3社とも好調な業績を発表したが、それぞれが異なる指標を持ち出すなど戦略や方向性に大きな違いが出てきており、そのことが業績にも色濃く反映されつつあるようだ。

4年ぶりに増収増益を実現したドコモ--今後は“光”を重視

 今回の四半期決算発表で、最も大きなサプライズをもたらしたのはドコモだろう。これまで長きにわたって不調を続け、売上・利益ともに大幅に落とし続けてきたドコモ。だが、7月29日に発表された2015年度第1四半期の決算は、営業収益が前年同期比0.1%増の1兆769億円、営業利益が12.3%増の2354億円と、増収増益に転じたのである。同社が増収増益となったのは約4年ぶりのことだ。

 業績回復の主因の1つは、「dマーケット」をはじめとしたスマートライフ事業の売上拡大である。実際、スマートライフ事業は営業利益が前年同期比3.6倍の230億円に達しているほか、新たに立ち上げた「dグルメ」が開始から約1カ月で28万契約を突破し、「dマガジン」に続く新しい柱へと育ちつつある。さらに、7月27日には「dアニメストア」が200万会員を突破。1人当たりの利用料も前年同期比3割増の1200円に達しており、月額制サービスの好調ぶりが、伸びを支えているといえるだろう。


ドコモはdマーケットの好調を背景に、スマートライフ領域の事業が急拡大している

 そしてもう1つは、通信事業の改善である。通信サービス収入自体はまだマイナスではあるものの、2100万契約にまで拡大した新料金プランにおいて、「Mプラン」以上の契約者が7割超まで拡大したことなども影響し、減収の幅はかつての10分の1程度まで低下。競争環境の停滞で月々サポートの影響が減少傾向にあることも、プラスに働いているようだ。


大きな減収要因となっていた新料金プランの契約数は2100万に達し、Mプラン以上の選択率が7割を超えるなど回復傾向にある

 そのほかの指標を見ても、純増数は前年同期比で約2倍の94万契約、MNPによる転出は7割減の3万にまで回復しており、解約率もMVNOなどの影響を除き、0.59%まで下がっている。ここ最近、ドコモの競争力自体は回復傾向にあったことから、新料金プランの影響が落ち着いてきたことで通信事業の改善が進み、業績回復へとつながったといえそうだ。

 またドコモは、今回の決算に合わせて「ARPU」(1人あたりの月間売上高)の基準を見直すとしている。従来は音声ARPUとパケットARPUに、スマートライフ事業のスマートARPUをプラスしたものをARPUとして評価してきた。しかし、今後はスマートARPUを除外し、音声ARPUとパケットARPUにドコモ光のARPUを足し合わせた「データARPU」の合計を、新しいARPUとして評価していくとのことだ。ちなみにARPU算出時の分母に関しても、これまで除外していた通信モジュールとMVNOに加え、タブレットによる2台目利用が増えていることからデータプランも除外し、“利用者数”をベースにしていくとのことだ。

 このARPUの基準変更からは、同社が今後重視しようとしているポイントが見えてくる。新たにドコモ光をARPUの算出に加えたことで、固定・通信一体での契約拡大を進めようとしていることが、より明確になったといえるだろう。一方で、ドコモの回線に依存しないスマートライフ事業は、業績が好調に拡大していることから、今後は一層事業の独立性を高めていくものと見られる。


ARPUの基準を変更し、スマートARPUを除外する一方、「ドコモ光」のARPUを加えたことで固定・モバイルの通信事業全体を重視した評価としていくようだ

 長い逆風を乗り切り、ようやく増収増益を達成したドコモだが、業績の本格回復はむしろこれからだ。中でも今後同社の業績に影響を与えると見られるのが、“格安”で注目されるMVNOの存在である。

 多くのMVNOがドコモの回線を利用していることから、拡大している同社の純増数はMVNOがかなりの割合を占めていると言われており、回線契約の増加が収益の増加に必ずしもつながらない側面がある。そうした状況下で純粋な自社回線のユーザーをいかに増やし、売上を高めていくかが、大きな課題となってくるだろう。

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