現在、日本では「Netflix」を始め、「Hulu」や「U-NEXT」といった動画配信アプリが人気だ。テレビに代わり、スマートフォンやタブレットを使って、インターネット経由で動画を楽しむライフスタイルが確立され始めている。
多くの読者にとって意外かもしれないが、モバイルデバイスで動画を視聴するライフスタイルが日本以上に浸透しているのが東南アジアである。現地を訪れたことがある人ならば、目撃したことがあるだろう。イヤホンをしてネット動画を鑑賞しながら、接客をする従業員の姿を。それほどまでに東南アジアの多くの人びとは、すきま時間を見つけて動画を楽しむことに長けている。
メッセージングアプリ「LINE」は、東南アジアの中でも特に人気を博すタイで、無料の動画配信アプリ「LINE TV」を配信している。同社の音楽配信アプリ「LINE MUSIC」や自撮り専用アプリ「B612」と同様に、同国の若年層の心を捉えているLINE TVを通して、現地の若者の嗜好とネット事情をお伝えしたい。
LINE TVでは、アプリ内で動画をストリーミング再生して鑑賞することができる。「Youtube」や「Dailymotion」が競合サービスにあたるが、タイに特化して展開している点で大きく異なる。LINEのグローバル戦略のキーワードである「徹底したローカライズ」を実践し、タイ国内で着実にシェアを伸ばしている。
LINE TVは、Android版、iOS版のどちらも配信されている。ユーザーはダウンロード後、まずアプリ内で自分のLINEアカウントと同期させる。それによって、友だちのチャット画面に直接シェアしたい動画のURLを送ることができる。
アプリのトップ画面は、人気の動画がラインアップする「スポットライト」「ドラマ」「エンターテインメント」「ミュージック」の4つのカテゴリに分けられているが、すべての動画を無料で楽しむことができる。
配信されている動画は、大きく2つに分けられる。1つは、日本や韓国、タイの放送会社とライセンス契約を結び、一度テレビなどで放映されたものを再びコンテンツとして提供するもの。日本のコンテンツとしては、「ドラえもん」や「NARUTO」、「名探偵コナン」などの主にアニメ。タイの地元で人気のコンテンツとしては学園ドラマ「Hormones」が挙げられる。
もう一方は、LINEが制作会社とタッグを組んで制作する自社コンテンツだ。韓国発男性アイドルグループ「EXO」出演のバラエティー番組「LINE TV Surplines EXO」は、タイ人のみならず、現地に暮らすアジア人のファンの間でも大きな反響を呼んだ。
日本が舞台となった自社コンテンツのドラマも人気だ。「STAY サガ・チャン ジャ キットゥントゥー」は、タイの大ヒット映画「I FINE..THANK YOU..LOVE YOU」で主演を務めたサニー・スワンメータノンと、先ほどの人気ドラマ「Hormones」にも出演するカウ・スパサラー・トンチャートという、ネットドラマとしては異例のビックキャストを迎え、放送前から注目を集めた。
ドラマの95%のシーンが佐賀県で撮影されたこの作品は、タイのティーンエイジャー好みの甘酸っぱく、繊細なラブストーリーになっている。各回30分、全4話の構成で、配信から約1カ月間で720万回も再生された。
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