LINE TVの収益源は広告である。顧客となる企業は、ときに再生数200万回を超える動画に、企業や商品の名前を登場させることができる。地場企業の広告が目立つが、ユニクロ、SAMSUNGによる出稿も確認できた。現時点では、コンテンツそのものに対する課金メニューはないようだ。
LINE TVが受け入れられている主な理由は、これら魅力的なコンテンツの力だろうが、タイの通信事情もそれを後押ししているだろう。
いわずもがな、近年、タイではモバイルデバイスが急速に普及している。2015年時点のスマートフォン保有率は58%、4年後の2019年には100%を超えると言われている。その背景としては、(1)中間所得層のボリューム増加、(2)貯蓄をしない国民性が挙げられる。彼らはその刹那的な購買意欲から、ローンを組んででもモバイルデバイスを手にいれるという話を聞く。
また、タイでは、コンビニエンスストアなどで金額に応じた通信容量のプリペイドカードを購入してモバイルデバイスを利用することが一般的。そのため、特に可処分所得が限られる若年層のユーザーは、4Gではなく、3Gの安価な通信容量を選択して利用することが多い。
LINE TVの動画は、144P、270P、360P、480P、720Pという豊富な画質の選択肢を用意している。さらに、「AUTOモード」であれば、最適な画質が自動的に選択される。こうした工夫により、3Gでモバイルデバイスを利用するいう、同国で最も多いユーザー層を取り込んでいると考えられる。
ただし、タイには、地場の通信会社 Trueが配信する「True Movie」や「AIS LIVE TV」など、類似したアプリがある。これまでは、LINEアプリからの流入もあってユーザーの囲い込みに成功してきたように見えるが、これからどのように差別化を図っていくのだろうか。
ユーザーベースを確保した後、広告サービス以外にどのような収益モデルを構築し、いかにして長期的にタイで受け入れられるコンテンツを用意していくのか、LINEの手腕が問われそうだ。
(編集協力:岡徳之)
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