ダブリン発--インターネット大手Googleは、ユーザーの考えがわかるなどという大それた思い込みをしていないが、新しい電子メール機能「Smart Reply」ではできる限り正確な推測を提供するという。
現地時間11月3日に発表されたSmart Replyは、「Inbox by Gmail」サービスで提供される機能で、受信メールのテキストを解析してそれに応じた返信を3種類提示する。ユーザーはそれを無視してもいいし、カスタマイズすることもできる。Smart Replyは、Googleの「Android」ソフトウェアまたはそれに競合するAppleの「iOS」を搭載するスマートフォンおよびタブレット上で実行する「Inbox」アプリを対象に、今週中に提供される予定である。
同機能は、シンプルに見えるかもしれないが、その内部にはディープラーニングと呼ばれる複雑な技術を用いている。ディープラーニングとは、研究者らの間で何十年にもわたって人工知能(AI)と呼ばれてきたものの新しい概念である。Googleはディープラーニングを利用して、同社サービスに実際の人間の心のような精神的な機敏性と複雑性のようなものを添えている。Googleは、スパム除去、被写体の特定、テキスト翻訳、スプレッドシートデータ内のトレンド抽出に同技術を既に利用している。
「機械学習の可能性は無限大だ」と、「Google for Work」プログラム担当プレジデントを務めるAmit Singh氏は、当地で開催されている技術カンファレンス「Web Summit」でSmart Reply機能を発表した際に述べた。
Smart Replyは、スマートフォンアプリとしてまずは提供される。これは、同技術が提供するすばやい応答に適した選択といえる。その理由としては、まず、Googleの電子脳が行き過ぎた返信候補を提示する確率を低くするからだ。さらに、スマートフォンの小さな画面上で長い返信を打つ作業は面倒であるため、作成済みの返信を提示するにはより適した場面である可能性が高いためだ。
「モバイル上では、電子メールの文面は非常に短く、通常は非常に行動指向的なものになる」とSingh氏は述べた。
この機能により、ユーザーの電子メールを読解するGoogleの能力は新たなレベルに達する。同社は既に、メッセージ内容を確認してスパムを排除しており、かつては広告を表示するためにもこれを実施していた。しかし現在、ディープニューラルネットワークとして知られる機械学習システムによって、その電子的調査能力はさらに高度になろうとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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