UPDATE 「iPhone」が接続しているWi-Fiの電波状況が悪い場合に、モバイルデータ通信に切り替えるOSの新機能をめぐってAppleが提訴された。
Appleは9月半ば、iPhoneおよび「iPad」向けに「iOS」最新版をリリースし、「Wi-Fi Assist」という新機能を導入したが、それが顧客からの不評を買っている。「iOS 9」ではWi-Fi Assistが知らないうちにデフォルトで有効になっており、その結果、iPhoneをWi-Fiに接続しているはずが、多額のモバイルデータ通信料を請求されたと多くのユーザーが苦情を訴えている。
そのような請求を受けた1組の男女が米国時間10月23日、カリフォルニア州サンノゼの米連邦地方裁判所に訴状を提出したとAppleInsiderが最初に報じた。フロリダ州エッジウォーター在住のWilliam Scott Phillips氏とSuzanne Schmidt Phillips氏は同機能を知らなかったため、自分たちや同様の請求を受け取ったユーザーの支払いを肩代わりする義務がAppleにあると主張している。原告側は集団訴訟を目指している。訴状によると、影響を受けたユーザーの損害額は合計で500万ドルを超えるという。
Wi-Fi Assistは、iPhoneユーザーに最もスムーズで一貫したインターネット利用体験を提供しようと開発されたものだ。一部のAppleユーザーは、Wi-Fi Assist機能によってWi-Fiの電波状況が悪くてもネット接続が維持されることを歓迎している。一方で、特に低容量のデータプランを利用しているユーザーは、予想外のデータ通信料を請求されたことに不満を訴えている。
賛否両論を受け、Appleは10月初めにWi-Fi Assistに関するオンラインガイドを公開した。
「Wi-Fiの接続状況が悪いときはモバイルデータ通信でインターネットに接続し続けることになるため、以前よりモバイルデータの使用量が増える可能性がある。大半のユーザーにとって、増量分は以前と比べてわずかな割合にすぎないと想定される」とオンラインガイドは説明している。
しかし原告側にとって、Appleの説明は不十分であり、タイミングも遅すぎたようだ。訴状の全文は「Scribd」にアップロードされているが、これによると、原告はWi-Fi Assistに関する記事やツイートを目にするようになって初めて追加料金の可能性を知ったという。また、動画や音楽ストリーミングはデータ使用量が大きく、Appleの「追加説明では、平均的なユーザーのモバイルデータ使用量はさほど増加しないとする主張の根拠が明らかにされていない」と述べている。
原告側は、Appleがカリフォルニア州の不正競争防止法および虚偽広告法に違反しており、また過失による不実表示があったと主張している。サムスンやLG、HTCといった競合するスマートフォンメーカーも同様の機能を各社のデバイスで提供しているが、今回はAppleのみが訴訟の対象となっている。
Appleはコメントを控えた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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