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顧客の心に火をつけるデータ活用

効率的に失敗することがマーケティングの要諦 - (page 2)

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日本がデータ先進国になるためには?

 ここにデジタル領域の調査会社であるIDCが実施した調査の結果があります。予想通り「データ活用人材の不足」が多くを占めています。


[出典:IDC Japan]

 実際のところ、データ活用人材になるためには、データベースやプログラミングに係るITスキル、線形代数やら多変量解析といった統計解析スキル、そして、そもそもビジネスや生活者を理解するビジネススキルと、求められるスキルは多岐に渡ります。深堀すればするほど1人では全てできないことも多く、データの収集と整理を1人に担当させ、そのデータを解析して示唆を導くところを別に担当させるなんて役割分担さえあります。データサイエンティストとともに語られるデータアーティストの台頭がその一例です。

 また、上記のように希少性に富む職種でもあるため、採用しようにも転職市場でなかなか見つからないのも事実。いたとしても売り手である彼らに対して、大企業は待遇のよさや大規模かつ先進プロジェクトでのやりがいによりアプローチしますが、中小企業が採用するにはいまだハードルが高く簡単ではありません。

 さらに、マネジメント層が十分にデータ活用の意義を理解できていないという声も聞きます。それによって、予算がなかなかつかずシステム導入に至らないという現状もあります。見方を変えれば、マネジメント層にその意義を理解させるだけの提案力が現場には足りないとも捉えられますが、どちらにせよ、「スキル」や「環境」に課題が散見されます。

 しかし、今回の連載において、私はそれ以上に、「意欲」という側面に着目します。その理由は2つ。まず1つ目は、スキルや環境といった課題を(ある程度)克服できるツールがすでに存在するからです。事実、デジタルマーケティング領域では、GoogleやFacebookが無料のデータ分析ツールを公開しています。どちらも、チャットや電話、メールでのサポート体制が整っているため、スキルがなくてもアドバイザーの助言をもとにデータ分析を進めることが可能です。もちろん、より“ビッグ”なデータを収集、整理、分析するためにはそのツールでは不十分ですが、データ積極活用企業が1割の現段階の日本では、まずは今ある分析ツールを使いこなすレベルに達しなければ、大規模なシステムを導入しても有効に活用できません。

 もう1つの理由は、データドリブンでマーケティング活動をカイゼンさせ続けることは相当な労力を要するからです。これは実際のビジネスの現場を思い起こしていただけると容易に想像がつくと思います。

 たとえば運用型広告の場合、毎日、いや毎時間、掲載している広告クリエイティブの成否が数値で判明します。予想通りに推移し、期待通りの成果に達していればよいのですが、なかなかそう簡単にいかないのが現場。期待はずれの現状から原因を推論し、解決策を考え、実際に手を動かして(デザインを作れないならデザイナーの協力を得て)クリエイティブの制作にまで至る必要があります。1回完結でなく、場合によっては1日に複数回も「データの取得→考察→活用」の循環を回すのは並大抵のことではありません。それにとどまらず、仕様変更が多いのもデジタルの特徴。現場担当者には継続的な学習が求められ、「手間が割に合わない」とさえ聞くこともあります。

顧客に対する「好奇心」を強く持つ

 「意欲」を分かりやすく言い換えるならば「プロフェッショナリズム」と「好奇心」になります(前者の重要性に関してはここで論じるまでもありませんので割愛します)。

 結局のところ、私たちがマーケティングで取り扱うデータとは、全て人に関わるもの、人に向いたものです。「AよりもBのデザインがクリックされた背景には、どのようなインサイトが眠っているのか?」「XよりもYからの流入が多いのは、なぜだろう?」など——私たちがデータへ向ける眼差しは、データを起点に、個人の消費・視聴行動を介し、人の内面へと至ります。よって、顧客に対する好奇心がなければ、正しい仮説は立てられません。仮説の質によって、得られる答えの質が上がりも下がりもします。言うなれば、人に対する好奇心こそがデータドリブンのエンジンなのです。

 今回の連載では、顧客に対する好奇心を携えてマーケティングに日々臨む方たちにお話を伺います。彼らの「好奇心」を通して、データドリブンマーケティングの突破口を探れればと考えています。では、彼らがどのような「データ」と向き合っているのか、多様にあるビッグデータの切り口をご紹介します。

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