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「業界」の素人がマーケティング視点で育てた高級家具ブランド「Helman-Chang」

尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)2015年09月08日 08時00分
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 僕は子供のころから図工関係が好きで、大嫌いな夏休みの宿題でも自由研究だけは例外だった。今でも木工関係の道具や機械を見ているとワクワクしてくるし、ものづくりを仕事にしている人たちを見ていると無性にうらやましくなったりするのだ。もちろん仕事だから、僕には分からない苦労もたくさんあるだろうが。


「Hellman-Chang」トップページ

 今回紹介する「Hellman-Chang」は、そんな僕から見れば、まさに夢を体現したサイトのひとつだ。同サイトでは子供のころ工作が好きだった友達同士が、大人になってから専用の機械が置いてある作業場を借りて家具を作り、大きなコンテストでの受賞をきっかけに家具の製造と販売を本格的に開始。今では米国中の業界から大きな注目を集めている。

 また、創業者はマーケター出身で、小さな企業が生き残るための唯一性の築き方という観点から見ても参考にできるところが多いサイトだ。

デザイン未経験から家具づくりを開始

 Hellman-Changの創業者のエリック・チャン氏とダニエル・ヘルマン氏は10代の頃から仲良しで、ヘルマン氏の父親のガレージで一緒に図工の課題や趣味の木工作品を作ったりしていた。


エリック・チャン氏(左)とダニエル・ヘルマン氏[出典:Hellman-Chang]

 誰かから正式に作り方を教わったわけではなかったが、自分たちで買った木工作品の本を読みあさって勉強。デザインはチャン氏が、設計や技術はヘルマン氏が担当するなど、お互いの良さを生かす分担制を取っていたという。

 その後チャン氏はニューヨーク州立大学でファイナンスとマーケティングを学んだ後、ニューヨークのデジタルマーケティング会社のマーケティング担当者となった。一方、ヘルマン氏は音楽学校でギターを学び、ニューヨークの音楽ビジネスを展開する会社に勤めるなどまったく別の道を歩んでいた。しかし2人は、社会人になってからも頻繁に会って雑談をしたり食事に出掛けたりしていたという。

 2人はあるとき、少年時代に木工作品を作っていたことを語り合い、もう一度趣味で始めみようじゃないかと、ニューヨークのブルックリンにある作業場を月450ドルで借りることにした。この作業場には自分たちも使用できる共用の機械もあったし、家具や道具などの作品の製作にフルタイムで取り組んでいる職人たちもいたため、わからないことがあれば質問できる最高の環境が整っていた。

 作業場を持ってからというもの、チャン氏らは仕事が終わるとほぼ毎日作業場に出向き、家具を作るようになった。完成した家具は、最初は家具屋に販売していたが、家具づくりに自信をもちはじめた2005年頃から、自分たちで家具ブランドを起ち上げたいと言う思いが強くなっていった。その背景には、家具をつくるためには相当の時間や費用がかかるのに、家具屋に販売して得る収入は多くないことへの疑問があったようだ。

 そこで、まずは認知度を高めるためにコンテストに応募することを考えた。いくつか検討したあと家具マガジン「Interior Design Magazines」のコンテストに自分たちの作品「Z pedestal」を応募することを決定。これがなんとファイナリストに残っただけでなく、2006年度の最優秀作品に選ばれ、2人は多くのカメラマンが集まるハリウッドのオスカーノミネートのようなステージで表彰されることになる。


Z pedestal[出典:Hellman-Chang]

 この受賞により2人の存在はインテリア業界でも知れ渡るようになり、シアトルにオープンするホテルに使いたいと20卓の注文が入り、それを皮切りに続々と注文が入った。

 大きな成果を手にした2人は会社を辞め、本格的に自社ブランドを起ち上げるためにウェブサイトの設計から顧客層のターゲティング、ブランディングなどを検討した。

 特にマーケティングのプロでもあるチャン氏は、大手がひしめく家具業界で埋もれてしまわないよう、「これまでの家具ブランドにはない家具を作る」ポジショニングとブランディングを徹底。まず、競合他社の家具ブランドの良いところ、悪いところ、ECサイトなどを徹底的に調査し、自分たちのブランドで差別化できるポイントを意識的に突き詰めていったという。

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