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クックパッド、メルカリ、nanapiが明かすコミュニティ運営のコツ

藤井涼 (編集部)2015年09月02日 12時20分
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 コミュニティサービスにおいて、ユーザーが集う“場”を整備して交流しやすくする「コミュニティマネージャー」。まだ聞きなれない人もいると思うが、サービスを良質な状態に保つには欠かせない重要なポジションだ。ただし、一言でコミュニティサービスと言っても、趣味を語り合うものから、動画やイラストを投稿するもの、商品を売買するものなどその種類は幅広く、サービスごとにユーザーへの接し方も異なる。

 各サービスのコミュニティマネージャは、どうようにしてコミュニティを育成・管理しているのか。nanapiが8月25日に開催したイベント「今知っておきたい!Webサービスにおけるコミュニティマネージメント」で、レシピ投稿サイト「クックパッド」、フリマアプリ「メルカリ」、そしてnanapiが運営するコミュニティアプリ「アンサー」のコミュニティマネージャが登壇し、一問一答方式でコミュニティを運営する際のコツや注意点を明かした。


左から、nanapiの久間美咲氏、クックパッドの中山亜子氏、メルカリの苅田直也氏、ファシリテーターはnanapi代表の古川健介氏が務めた

 改めてそれぞれのサービスについて簡単に説明すると、クックパッドはユーザーが自分の作った料理のレシピを投稿できる老舗のサービス。メルカリは、スマホから誰でも簡単に売り買いが楽しめるフリマアプリ。アンサーは匿名で気軽に趣味について語ったり、悩みを相談したりできるアプリだ。

――サービス内での炎上対策はどうしているのか。

メルカリ : 商品に関していうと、大前提としては「安全」であること。そして、「違法性がないもの」という2つに重きを置いている。どこまでがグレーゾーンなのかという点は、カスタマーサポートのリーダーと本部でコミュニケーションをとりながらラインを決めている。偽物など問題のある商品なのか分かりづらい場合は、権利者に連絡して確認している。

クックパッド : よくあるのは、似たようなレシピが投稿されてしまうこと。実際、雑誌に載っていたプロの方のレシピを掲載してしまった人もいる。そこで、クックパッドでは作者がレシピを書く時に、そのレシピがどうやって生まれたかという“生い立ち”を自分の言葉で書いてもらっている。

 もともとこの欄はなかったが、レシピの生い立ちを書いてもらうことで、投稿者自身もちゃんと振り返ることができるし、読んだ人にとっても「親子三代で続いている大事なレシピです」と書いてあると、そのレシピの価値が高まる。「禁止」とか「ダメです」と表向きにいうよりは、サービスの中で自浄作用にもっていくことが大事。


レシピ情報投稿サイト「クックパッド」

アンサー : ガイドラインや利用規約に反するもの、たとえば出会いを求めるとか卑猥な投稿は、割と厳しめに削除している。一方で、捉える人によっては嫌だなと思うような誹謗中傷やユーザー間の揉めごとの投稿は消さずに、ユーザーに任せるようにしている。

 そうしている理由は、運営が本当にその人が嫌だったかどうかを、どこまで判断したらいいか分からないということ。また、考え方としてあまり(コミュニティを)綺麗な場所にしたくないという思いがある。こちらが物凄く管理した綺麗な場所は、逆に不自然だと思っているので、ユーザー間で起こることについては、当人同士でまずは解決してみようとお返しすることが多い。

――ユーザーの声(意見)はどれだけサービスに反映しているか。

クックパッド : ユーザーインタビューはたまにしている。1つのモデルケースとして、目の前の人がどういう気持ちでレシピを投稿しているのかを聞くため。いろいろな人の意見を聞くというよりは、こちらが立てている仮説の確認というか、それがハマっているかどうかの確認みたいな意味合いが強い。

メルカリ : 社内で日報の仕組みが整っていて、約100人いるカスタマーサポートの人間が日報を書いて、コミュニティマネージャや経営層に吸い上げる。もちろんすべてのユーザーの声を聞いていると、いいプロダクトにならないので、その中でいかに本質を抽出するかが大事で、常に試行錯誤している。判別する基準としては、まずキーワードの量が多いか。トラブルが多いのか、毎日どれくらい起きているのかをみて、それが解決すべき課題だと判断したらさらに詳細を確認する。


フリマアプリ「メルカリ」

アンサー : コミュニケーションをとりやすいサービスなので、自分からどんどん出ていって、雑談も含めて気軽に話すことで意見をもらうことが多い。もらうだけではなく、こちらの考えも共有することで、ユーザーと一緒に理解を深めている。アンケートも実施したが、目的は量よりも定性的なこと。意見が多いものを採用するなどではなく、こんなことを言っている人がいることを、分類して開発チームに戻すといったことをしている。

――初期のコミュニティは、投稿者がいないと価値がないが、コンテンツがないとそもそもユーザーがこないという“鶏卵”な状態。これをどう解決したか。

アンサー : いまもそれに近いが、初期のアンサーはとにかく気軽に投稿できることに集中していて、書き込みをまず増やすために、スタッフが(サービスに)付きっきりで、1日中即レスをしていた。すべての投稿にすぐに返事がくる状態を、最初に頑張って作ったことで、最初にヘビーユーザーになってくれた方が、次に来た人に同じような対応をしてくれる状況になった。


コミュニティアプリ「アンサー」

クックパッド : もともとレシピを載せるサービスとしてスタートしているので、そこでアレコレ考えるよりは、載せたい時にすぐ載せられる方が大切なので、フォーマットなどをすごく研究した。またインターネットの黎明期にサービスが始まっているので、ケータイからスマートフォンに代わるなどデバイスが変化している中でも、いち早くそこに対応してレシピを載せられる状態を作ってきた。

メルカリ : いろいろな指標を見たが、結局、出品が伸びれば(購入など)他の数字も伸びる。投稿する商品の値段や質で購入率が変わるのかと思ったが、意外にそこは変わらず、初期の頃から現在まである一定のパーセンテージを維持している。もちろん改善の余地はあると思うが、いまはそこのパーセンテージを変えていくというよりは、出品数を増やすことを重視している。

――投稿を増やすためのコミュニティ設計における工夫は。

アンサー : 初期のアンサーは、投稿したものが24時間という早い時間で消えることが1つの特徴だった(現在は48時間)。また、最初は他のユーザーがどんな投稿をしているのかをプロフィールページから見ることもできたが、そういうものもどんどん見えなくした。「私が過去にどんなことを話したか?いまこの私の会話には関係ないじゃない」というところを結構意識して設計した。

クックパッド : 「つくれぽ」(投稿されたレシピを実際に作ったユーザーが感想を残せる機能)がない時代は、コミュニケーションの負担が結構あった。レシピを見た人が日記にありがとうのコメントを残すと、作者は嬉しいためその日記の写真を拾って、こんな風に作ってくれましたと書きたくなるが、コミュニケーションとしてはすごく重い。それでも一生懸命やってくれている人がたくさんいた。そこに時間をとられてしまうのはもったいないと思い、それを解消するために設けたのが「つくれぽ」の仕組み。

メルカリ : (初期から)大きな方向転換はなかったが、出品者が商品の売上のお金を使って(別の商品を)購入できる仕組みはなかった。それを入れてから結構、出品と購入が活性化したかなと思う。

――ユーザーによる荒らし対策はどうしている。

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