Cheetahから数えると12代目となるOS Xの次期バージョン「El Capitan」のパブリック・ベータが公開された。WWDC 2015の基調講演では紹介されなかったこと、はっきりわからなかったことを中心に、MacBook Air(Mid 2013)で試した結果を述べてみよう。
El Capitanのインストール後、最初に気付くのは軽快な操作感だ。Dockからアプリケーションを起動するにしても、ウインドウを動かすにしても、どこか違う。クリーンインストールしたことによる影響もあるはずだが、アプリケーションを起動するときアイコンのバウンドする回数は明らかに減っている。
なんといっても、「プレビュー」におけるPDFの表示速度が改善された。Yosemiteのプレビューで開いたときは、すばやくスクロールしようとすると“引っかかり”を感じたPDFが、El Capitanのプレビューではスルッと描画される。とにかく急いでページを繰りたいときのストレスが、El Capitanのプレビューにはないのだ。Safariのページスクロールも高速化された印象だが、「プレビュー」でPDFを開いたときの描画速度アップは、誰でも体感できるレベルだ。
このスピードアップの理由には、思い当たる節がある。iOS 8で登場し、OS XではEl Capitanで追加されたローレベルのグラフィックAPI「Metal(for Mac)」だ。
Metalを導入すると、従来のOpenGLを利用した描画に比べ、ドローコールが最大10倍にまで高速化され、レンダリングも最大50%スピードアップする。PDFのスクロール速度が向上した理由は、El CapitanのプレビューがMetal対応したからに違いない。
そう見当をつけ、プレビューのバイナリ部分がリンクするライブラリをotoolコマンドで調べたが、Metalと覚しきフレームワークは見つからない。次に、QuartzCoreやCoregraphicsといった描画関連フレームワークを調べてみたところ……ビンゴ。Metalフレームワークにリンクしていた。
つまり、El Captainでは基礎的なレイヤーの段階で描画処理が改善されているため、Metal for Macが動作する環境でありさえすれば、描画処理を伴うアプリの動作レスポンスが向上する。外観に現れたユーザエクスペリエンスの変化もいいとして、システムレベルで動作レスポンスを改善するMetalのほうが断然興味深いと思うが、いかがだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス