「高齢者には買いたい商品がない」という質問には、「それに応えるものを持っていると考えている。パナソニックのリフォームも高齢者向けのものであり、それに向けたロボット技術もある」と津賀氏がコメント。専務取締役の宮部義幸氏は、「ロボットの開発は続けている。高齢者向けにはベッドが電動椅子に変化する“リショーネ”などの製品を提供している」と回答した。
20年以上パソナニックの製品を使い続けているという株主からは、部品保有の考え方についての質問が飛び、津賀氏は「20年という長期間の使用に対応できる状況にはない」としたが、常務役員の中島幸男氏は、「家電公取協(業界団体の全国家庭電気製品公正取引協議会)で業界の保管基準があるが、パナソニックでは、プラス1年部品を保有して長く使っていただけるようしている。テレビの部品は基準では8年だが、パナソニックは9年。エアコンは9年に対して10年となっている」と回答した。
BtoB比率が8割になれば、創業者の松下幸之助が目指した「商品が消費者に直結する」というイメージが変わるのではないかという点については、「何が消費者直結ビジネスであるのかということを考えなくてはならない。その一方で、それを考え直すいい条件が整っている。パナソニックブランドの商品がどれだけ目につくのかということはひとつの手法であるが、自動車メーカーと一緒によいクルマを作って、消費者にお役立ちできる商品を提供しており、住宅分野に対してパナソニックグループとして提供するといった取り組みもある。これも、消費者に直結するものである」と答えた。
「米国でパナソニックはかつてテレビメーカーというものであったが、今では電気自動車のTeslaをサポートするパートナーであるという認識が広がっている。全体を見ると業務用の比率は少ない。パナソニックに社名を変更し、ブランドを統一した強みを生かしていきたい。私は、創業者が目指したものとは変わらないと考えている。消費者に直結するということを新たな形で示していく」(津賀氏)
テレビ事業の利益創出については、常務取締役の吉田守氏が答えた。「7年連続でテレビ事業が赤字となったことはお詫びする。リーマンショック以降、厳しい状況が続いているが、かなり改善は進んでいる。赤字の原因は、為替や価格競争の影響もあるが、われわれの努力が足りないと理解している。2015年度はなんとしてでも黒字化を図る」
「赤字の原因であった米国と中国で構造改革を行った。日本国内でも4Kテレビが広がり、ここの取り組みを強化したい。今後は、インテリアにこだわったもの、高画質、高音質な製品、インタラクティブな新たな使い方ができる商品を目指したい。なんとしてでもテレビ事業を白字化し、業績に貢献したい」(吉田氏)
白物家電の地域展開については、常務役員の本間哲朗氏が回答。「中国やアジアではプレミアム家電が高い評価を受けており、グローバル展開ではここを優先したい。欧州はテレビの販売で強みがあり、2009年度から欧州で展開し、ゴレーネ(Gorenje)に出資し、共同開発した冷蔵庫、洗濯機を提供している」と述べた。
女性役員の登用に関する質問については、常務取締役の石井純氏が答えた。「女性の活用は、組織の多様性を育む原動力と位置付けており、これにより、企業風土を変えていきたい。女性を活用する制度も大切である。女性役員が1人就任したほか、女性の管理職は着実に増えている。実際には、この5年間で1.6倍に増え、400人を超えている」とした。
かつての「明るいナショナル」のようなイメージソングを作ってほしいという意見については、役員の竹安聡氏が回答。「年間約1000億円のプロモーション費用を使っている。いま、Wonders! by Panasonicというメッセージを使っているが、これが“明るいナショナル”を超えるようにがんばらなくてはならない。新たな宣伝展開も検討したい」とした。
パナソニックが京都・南禅寺に所有している「真々庵」を一般公開してほしいという要望に対して、「規模の大きさや目的から一般公開する施設にはなっていない。何かできないかということは考えたい」と述べた。
第1号議案の取締役17人選任の件、第2号議案の監査役1人選任の件はいずれも可決され、午前11時57分に閉会した。
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