日本電信電話(NTT)とパナソニックは6月17日、「映像サービスの革新」や「ユーザーエクスペリエンスの進化」を目指して業務提携をすることで合意したと発表した。
両社の技術を相互提供し、新たなサービスの共同開発を通じた「映像サービスの革新」や「ユーザーエクスペリエンスの進化」により“来るべき未来”を実現すると説明している。
発表会にはパナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏とNTT 代表取締役社長 CEOの鵜浦博夫氏が登壇した。
協業の狙いについて津賀氏は、「2020年に向けて、スタジアムの統合演出ソリューションのような新しいサービス、外国人向けの多言語に対応したインタラクティブサイネージソリューション、新たなユーザーエクスペリエンスで新たなポジションを実現し、社会に貢献したい」と説明した。
目指すのは、新たな市場の開拓だ。これまでのパナソニックについて、「家電の中核はテレビだった。重要な商品だが、培ってきたさまざまな蓄積は家電としてのテレビだけにとどめる必要はない。どちらかと言えばこれまで自前主義だったが、単品の端末志向と技術志向を返上し、反省しながら見方を変えていかなければならない」と振り返った。
さらに「テレビを中核に培ってきた技術が多数ある。監視カメラやカメラ映像の画像認識をはじめとするセキュリティ技術もある。いつでもどこでも、だれもが安心・安全に利用できるサービスの開拓につなげ、お客様に提供することがチャレンジ。別の言い方をすれば、従来の発想では小規模でスタンドアローン的なシステムにとどまることが多かった。いまわれわれに必要なのは、モバイルネットワークや公共スペースで展開する力。NTTグループと協業することで、モバイルでも使える新時代のソリューションサービスを作っていきたい」とし、NTTとの協業に期待を寄せた。
一方のNTTも、“自前主義からの脱却”を口にする。鵜浦氏は、「2020年は、ある意味では新しいサービス、ビジネスモデルを生み出していくための機会。2年半前(2012年11月)に中期経営戦略として『新たなステージを目指して』を掲げた。その時点ではオリンピックも決まっていなかったので、“新たなステージ”は漠然としていた。通信キャリアとしてのビジネスがどう変わっていくのか。従来は、自分たちがメインプレイヤーであり、自前で何でもやれると思っていたが、今後は社会の発展に向けOne of them(大勢の中のひとつ)の価値のあるプレイヤーになっていくこと。グループ全体のビジネスモデルが変わっていく機会が2020年だと考えた」と語った。
具体的なサービスは明らかにしなかったが、同社はプラットホームとしての役割に徹することを検討しているという。「津賀さんと話す中で、個別サービスとして作り上げるのは私たちではないのではないかもしれないと思っている。道具だけを用意する。それがB2Bということ。さまざまな新しいサービスが作れたり、組み合わせによってユーザーが楽しんだりすることを私どもはお手伝いするということ。ユーザーインターフェースにしても、映像にしてもNTTとパナソニックだけの力では次の展開が難しい。第3のプレーヤー、第4のプレーヤーとのコラボレーションが必要。新しいパートナーを加えていくことで、ユーザーに喜んでいただけるサービスやまた違った展開も可能になってくる。そうしてオリンピック以降も含めた、新しいビジネスモデルをつくる。いまこのサービスがありますということではなく、知恵を出し合っていく。そこに価値を見てもらえれば」(鵜浦氏)と説明した。
NTTは、なぜ協業相手にパナソニックを選んだのか。鵜浦氏は、「パナソニックは、オリンピックのワールドパートナーとして(1988年以来)長く活動している。2020年のパートナーを目指した時点で、自動的に決まっている。これまでのコラボレーションでスマートシティ事業も行っているほか、デジタルサイネージも、パナソニックの子会社とNTTの子会社が取り組んでいたり、さまざまなお付き合いがある。ほかは考えられなかった」と語った。
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