シャープは6月23日午前10時から大阪市西区のオリックス劇場で第121期定時株主総会を開催した。総会に出席した株主は1212人。昨年の943人から250人以上増加した。
同社の2015年3月期連結決算は売上高が前年比4.8%減の2兆7862億円、営業利益が480億円の赤字、経常利益が965億円の赤字、当期純利益が構造改革に伴う特別損失の追加計上などもあり、2223億円の大幅赤字となった。
議長を務めた代表取締役社長の高橋興三氏は開会を宣言した後、出席した役員全員を起立させ、「まず、株主のみなさまにお詫びを申し上げる」とし、「当事業年度の決算で当期純損益が2223億円の赤字という大変厳しい業績になった。配当金についても3年間にわたり無配となり、株主のみなさんの期待に応えられず、誠に申し訳ない。お詫びを申し上げる」と深々と頭を下げて陳謝した。
「役員一同、新たに策定した中期経営計画の達成といち早い業績回復を実現することにより、株主の期待に応えられるように一丸となって邁進していく所存である」(高橋氏)
その後、ビデオで2014年度の業績内容などを報告。業績悪化の要因として液晶テレビやエネルギーソリューションの販売減少、中小型液晶の価格下落のほか、ソーラーパネルの原材料であるポリシリコンに関わる買付契約評価引当金の計上や液晶の棚卸資産評価減を行ったこと、液晶工場や堺太陽電池工場などの減損損失として1040億円、欧州などでの事業構造改革費用として212億円、欧州太陽電池事業に関連して解決金として143億円を計上したことなどが影響したと説明した。
年間配当金は、当期純損失を計上したこと、個別決算で繰越利益剰余金が欠損の状況であることを理由として3年連続の無配とした。
続いて、高橋氏が対処すべき課題について説明。ここでも改めて業績悪化を陳謝しながら、米州の液晶テレビやエネルギーソリューションの事業環境悪化に対する対応不足、中小型液晶の市場変化の見誤りと価格下落の対応力、営業力不足などから大幅な赤字を計上したことに触れた。
「業績悪化の要因は、変化への機敏な対応力の弱さ、成長事業の立ち上げ遅れ、コスト競争力の低下、ガバナンス、経営管理力の不足にあったと認識している。2015年度を最終年度とする『2013~2015年度 中期経営計画』の達成が困難な状況となった。こうした状況を克服し、抜本的構造改革の断行による安定的収益基盤の構築を図る企業戦略として、今年度を初年度とする『2015~2017年度 中期経営計画』を策定した。中期経営計画では、事業ポートフォリオの再構築、固定費削減の断行、組織やガバナンスの再生、強化という3つの重点戦略を実行し、安定的収益基盤の構築を図る」(高橋氏)
同社では、2015年度の業績見通しとして売上高が2兆8000億円、営業利益が800億円とする計画を掲げているが、これまで公表していない当期純利益については、「構造改革方針が具体化した段階で公表する」とした。
また、2015年度下期から5つのカンパニー制を導入し、上期中に国内で3500人を含む全世界で全社1割にあたる人員を削減、緊急人件費対策による役員報酬と従業員給与を削減する。「聖域なく改革を断行する」として本社の土地と建物を売却することなども説明した。
高橋氏は、今年2月から役員報償を55%削減。7~9月は70%削減しているという。それ以降の削減幅については9月に決定していくとしている。
信用の回復と復活に向けた強固な土台づくりを目指した財務基盤構築のため、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に対して、総額2000億円の優先株式を発行すること、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズに対して250億円の優先株式を発行し、資金を調達する予定についても説明した。
「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象、状況が存在しているが、主たる金融機関から優先株式引き受け完了を条件に新たな中期経営計画の支援継続の内諾を得られており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められない」(高橋氏)
高橋氏は説明の最後に「今回の中期経営計画は、私が中心になって策定したものであり、この計画を達成することが私に課せられた経営責任である。不退転の覚悟で取り組み、シャープの再生を果たしていく」と力強く語った。
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