だが、そうした状況は完全に変わろうとしている。新しいソフトウェア開発キット(SDK)によって、開発者はついに、加速度センサ、「Force Touch」、マイク、スピーカー、動画、心拍数モニタ、「Digital Crown」といった機能にアクセスすることが可能になる。これらのアプリの用途がどのようなものになるかは、人々が何を思いつくかによるだろう。AppleのKevin Lynch氏はVolkswagen(VW)アプリのデモで、Apple Watchから車のドアを解錠し、車内の温度を調節するという機能を披露した。このアプリの起動は、筆者がこれまでに使ったどの既存サードパーティー製Apple Watchアプリよりも速かった。またVineのアプリでは、Apple Watchの小さなディスプレイで動画と音声がループ再生された。
これは極めて重要なことだ。確かに、こうしたアプリの多くは、奇妙、無意味、または単に物珍しいもので終わってしまうかもしれないが、いずれも従来のアプリより快適に動作し、多くの機能を備え、クールな印象を与えるだろう。その多く(フィットネスアプリなど)に、Apple Watchで既に可能と思われているような機能が搭載され、例えばJawboneやFitbitなどの企業は、自社のヘルスアプリのWatchネイティブ版を提供できるようになるはずだ。リモートアプリ、ゲーム、計算機、ボイスメモアプリなどが登場する可能性もある。新しいSDKによって、どれも実現可能になるはずだが、こればかりは今後の成り行きを見守るしかない。
ただし、重要なことは、これでApple Watch向けの真のキラーアプリが生まれる環境が整ったということだ。キラーアプリの欠如は、リリース当初からApple Watchの泣き所だった。
多くの人が、Appleの年1回のOSアップグレードサイクルに慣れている。実際のところ、WWDCはそのための場だ。しかし、8日のwatchOS 2の発表は、バージョン1から約半年後に登場するという点で、かなり意外なことだった。それには、Apple Watchを早く進歩させたいという意図が表れている。だが、WWDCの基調講演の発表内容を考えると、それらの約束には根拠がありそうだ。
新しいwatchOSには、大きな価値を生む可能性のある機能や改善が多数追加される。新しい文字盤、一目で確認できる情報の充実、友達管理機能の改善、公共交通機関の乗り換えデータなどが追加されて高機能になった「Maps」、「Siri」を「HomeKit」と連携させてApple Watchから直接照明や電化製品を制御する機能、さらに電子メールへの返信といった以前は非対応だった機能などだ。
追加される文字盤には、自分の子供の写真でカスタマイズできるものや、毎回フォトアルバムから写真を選んで表示するものなど、写真を利用するものもある。さまざまな都市で撮影されたタイムラプス動画を表示する文字盤も追加される。
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