こんにちは、勝負事には、めっぽう弱い林です。
ゲーム全般、特にボードゲームが大好きなのですが、ルールを覚えたばかりのまったくの初心者に、初戦で敗北、なんてこともしょっちゅう。ゲームの「仕組み」には興味があっても、勝つことへの執着が低いのですね……。先日、中学2年の末っ子にチェスを教えてやりましたら、また初戦敗退しまして……さすがにこれはないだろうと、ちょっと頭を痛めているところです。
最近はやりの「カタンの開拓者たち」を入手したので、今週末は、これでリベンジを狙っています(というか2人でできるんだろうか?)。
ところで、Aというゲーム(戦場)では旗色が悪いので、Bという別のゲーム(戦場)で勝負を挑む――。これは経営学でいうと、「ランチェスター戦略」と呼ばれる戦略ですね。ランチェスター戦略では、大きな市場シェアを持つ「強者」と、それ以外の「弱者」とでは、取るべき選択が大きく異なる、と考えます。
強者は自分の強さが生きるよう、なるべく大きな戦場で戦うべし。その反対に、弱者は自分の強みが生きる、ニッチな戦場で戦うべし、とされているのです。
この話を思い出したのは、先日、次のニュースを見かけたからです。
まったく同じ日に、「電子書籍」を巡って2つのニュースが流れました。とはいえ、両者を結びつけて論じるような解説はあまりなかったようです。
しかし、ランチェスター戦略というキーワードで読み解くと、1本の太い線が見えてきます。DNP傘下のCHIグループは「honto」、紀伊國屋書店は「Kinoppy」というブランドで、それぞれ電子書籍サービスを提供しています。
両社のそれぞれの市場シェアは、どのくらいなのでしょうか? これについては、最近まであまりよい調査がなかったのですが、MMD総研がなかなか興味深いデータ(2014年3月電子書籍に関する利用実態調査→2015年4月電子書籍に関する調査 追記:最新版に差し替えました)を公開しました。
「N=335」、つまり回答者が335人しかいないのが残念なところですが、1位がAmazonのKindle、2位が楽天のKobo、次いでAppleのiBooksという順番で、hontoやKinoppyはかなり下の方に位置しています。他の調査でも、大体似たような結果が出ています。(追記:数値を修正しました。)
世界最大の印刷会社と、日本のスーパーメジャーな書店の提供する電子書籍サービスが、なぜ現在のような地位に甘んじているのかは、それ自体興味のあるテーマですが、Amazon、楽天に大きく遅れをとっている両社にとって、一番コストのかかる電子書籍の「仕入れ」とストアの「運営」を統合してコストダウンを図ろう、というのは自然な流れではあると思います。
では、2社の提携は、単なる、後ろ向きの「弱者連合」なのでしょうか? 実は、同時に発表された楽天によるOverDrive買収と合わせて考えると、もっと前向きな可能性も見えてくるんですね。
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