こんにちは。最近「クルマ離れ」がひどい林です。
いや~本当に離れまくっております。昔は多い年には3万kmくらい乗っていたのが、今はせいぜい1万5000kmと半減。3000kmごとにしていたオイル交換も、5000kmごとですし、毎週末、欠かさなかった洗車も、今はひと月ごと。いや~離れた離れた。
……ってそれ離れてないじゃん! というツッコミを期待しながらキーを叩いております。クルマに詳しい人ならお分かりかと思いますが、年間1万キロ超の走行距離は少なくないですし、新車のときを除いて、3000キロごとのオイル交換はやりすぎです。毎週洗車したら(やり方にもよりますが)かえって塗装が痛みます。
でも主観的には、「離れて」はいるんですよね。「以前と比べれば」、という自分内の基準では。自分内の基準、つまり自分勝手な定義ということですが、「(「離れる」)対象はなにか」「離れるという行為の定義は何か(何がどうなれば「離れた」ことになるのか)」ということを決めないと、どんな現象も、「◯◯離れ」と表現できてしまいます。
しかし、世の中には、こういう「オレオレ基準」の◯◯離れ論が非常に多い。いや、一定の基準すら立てずに議論しているようなものも、少なくないのです。
出版界での◯◯離れといえば、なんといっても「活字離れ」でしょう。過去にも何回か取り上げましたが、国民が本や雑誌を読まなくなっている、それが、「出版不況」の原因だ、という文脈で目にすることが多い表現です。たとえば、こんな記事で。
「1冊も本を読まない」…47・5% 文化庁調査で「読書離れくっきり」
“文化庁が実施した「国語に関する世論調査」によれば(中略)平成21年実施の前回調査に比べ、1冊も読まない割合は1・4ポイント増加、14年実施の前々回調査からは10ポイント近く増加しており、日本人の読書離れが浮き彫りになった格好だ。(中略)文化庁関係者は「21年実施の調査で国民の読書量の減少が明白となったが、その後も改善されていない」と憂慮する。”
月刊誌「新潮45」(新潮社)2015年2月号は、「出版文化こそ国の根幹である」という大特集を組みました。冒頭、「国家の品格」で有名な作家で数学者の藤原正彦氏は、文化庁の同じ調査を踏まえて、こう語ります。
“先日テレビで、一カ月に一冊も本を読まない人が47・5%という文化庁の調査結果が出ていました。(中略)この傾向はいつ頃から始まったのか。私は、1997年が大きな転換点だったと思います。(中略)この頃、携帯やインターネットが普及してきました。そんな時期に人々は、本から携帯、ネットへと乗り換えていったのです。特に若い人たちのあいだで、ネットで情報を得ていれば、別に本を読まなくても済む、という感覚が広がった。”
本を読まない人の割合を「不読率」と呼んだりします。国民の半分近くが、本を読んでいない。確かに、いいことだとは言えないかもしれませんね。
ただ、こういうデータは、多くの前提条件や限定のもとに収集、集計されていたりするものです。きちんと原典にあたり、そうした条件を吟味するのが「活字人間」の嗜みというものでしょう。私も活字人間のはしくれとして、ソース(国語に関する世論調査の結果について)を確認してみました。
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