米口コミサイト「Yelp」に挑むインドのベンチャー企業の戦い方--情報を足で入手

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 2014年、日本にも進出した米国の大手クチコミサイト「Yelp」。食べログキラーとも言われたが、食べログの買収に興味を示しているとも言われている。

「Yelp」は日本で成功するのか--アジア初進出国シンガポールの状況から占う
「Yelp」は日本で成功するのか--アジア初進出国シンガポールの状況から占う

 Yelpは、本家米国では飲食店以外に、自動車修理工場や美容室、各種修理サービスなどあらゆる小売業種をユーザーが評価できるサイトである。27カ国以上に進出しており、ユニークビジター数は月1億4000人にのぼる。

 米国では飲食店のクチコミは、他にもPricelineが買収したレストラン予約サービスのOpenTableや、旅行者だけでなく地元住民によるレビューも多数掲載されているTripAdvisorなど強豪がひしめく市場である。ところが、そこに乗り込んだインドのベンチャー企業がある。

 ニューデリーに本社のあるZomatoは今年、米国の飲食店クチコミサイト、UrbanSpoonを現金5000万ドルで買収した。この買収によって、Zomatoのビジター数は月3500万人から8000万人、掲載店舗数は30万から100万以上に一挙に増える。

 2008年に創業した同社は、飲食店のメニューのスキャンサービスとして開始。今では、中近東やアジアの新興国を中心に22カ国100都市以上に進出している。インドだけでなく、米国のベンチャーキャピタルからも資金を調達しており、新たな資金調達ごとに新市場に参入してきた。最近では、各地のクチコミサイトの買収によって市場拡大を図っている。

 実は、筆者がZomatoに出会ったのは、チリのサンチャゴに滞在中だった。中南米では、個人経営の飲食店になるとウェブサイトを持ってないところが多い。近くにどういったレストランがあるのかとネットで検索しても、出てこない店が多いのだ。レストラン名を検索しても出てこず、どういった料理を提供しているのかもわからない。Zomatoには、そうした個人経営の小規模店が掲載されており、実際に店で使われているメニューをスキャンしたものが、ユーザー評価などとともに掲載されている。

情報を足で入手--従業員が出向いてメニューをスキャン

 Zomatoが競合サイトと大きく異なるのは、従業員が実際に店に出向いて情報を入手している点だ。店や料理の写真を撮影し、メニューをスキャンし、それをZomatoで掲載する。ウェブサイトに掲載したメニューと実際のメニューが違うレストランは結構あるので、これは有益だ。また、3カ月ごとに店に出向いて、情報の正確性を確認するという。

 Yelpでは写真を含めユーザー発信情報しか載っておらず、この辺の違いでZomatoは差別化を図れると考えているようだ。なお、Yelpと同様、他のユーザーをフォローすることもでき、コミュニティ機能もある。

 Zomatoでは売上の約75%がインドとアラブ首長国連邦から成り、今のところ、利益を出しているのは同2国のみだ。今年、他の数カ国でも収支はトントンになるという。ドバイでは2015年、ApplePayに類似した飲食店での携帯支払サービス開始した。また、3月にインドでは宅配サービスも開始している。飲食店には同社アプリが掲載されたiPadを提供。飲食店に対する手数料は、利用者による評価によって決まり、評価が悪いほど高くなる仕組みだ。利用者には評価を義務付け、評価しないと次の注文ができないという。

 インドでの宅配サービスが成功すれば海外でも開始する予定で、将来は、レストラン予約サービス、飲食店内のテーブルからのアプリを利用した注文なども予定している。米国では、買収したUrbanSpoonをZomatoのプラットフォームに統合し、Zomatoのブランドで展開予定だが、これまで進出してきた新興国と違い、米国には手ごわい競合が存在する。実際、UrbanSpoonは、早期参入組みだったものの他社に遅れを取っていた。また、情報を足で入手するモデルは、人件費の安い新興国では可能だったが、米国では採算的に可能なのかという疑問もある。

 インド企業が、競争の激しい米国市場にどこまで食い込めるのか楽しみである。

有元美津世(ありもと みつよ)
大学卒業後、日米企業勤務を経て渡米。MBA取得後、独立。16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。現在は投資家。在米26年。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』(ジャパンタイムズ)、『図解米国のソーシャルメディア・ビジネスのしくみ』(あさ出版)、『英語でもっとSNS! どんどん書き込む英語表現』(語研)、『英語でTwitter!』『プレゼンの英語』『面接の 英語』(ジャパンタイムズ)
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