Project Araでも、Moto Makerと同様、自分のスマートフォンをオンラインで構築できるようになるであろうことは想像に難くない。最初にEndoskeletonのカラーとサイズを選択し、それぞれバックプレートデザインが異なるサードパーティーベンダー製モジュールを組み合わせていくのだろう。
スマートフォンに関しては、これ以上のカスタマイズ性を実現するのは難しい。
Project Araスマートフォンによってクリエイティブな用途がいくつも生まれる可能性もあるが、携帯性に関する問題もある。
一通りの機能が揃ったスマートフォンにしようとすれば、Endoskeletonのモジュールをほぼすべて使ってしまい、自由に使えるポートは1つか2つしか残らないだろう。したがって、交換用モジュールを大量に持っていると、実際には不便が生じるはずだ。使用しないモジュールはどこに収納すればいいのだろうか。
いくつかのモジュールが小型のキャリングケースの中で静かに音を立てるようになるのではないか。あるいは、ファスナー付きの整理ケースの中に整然と並べられるのかもしれない。豪華なカメラがキーホルダーからぶら下がるようになることも考えられる。大半のモジュールは家に置かれるようになるかもしれない。Mobile World Congressを訪れた人々が愛らしい「Android」ピンに夢中になったように、コレクターズアイテムとして家に保管されるのだろうか。
また、モジュールは実際のところどれほど効果的に機能するのか、という疑問もある。デモやモックアップはたくさん見てきたが、ハードウェア機能を実際にホットスワップできるようになるまで、それを知る由はない。
Project Araは魅惑的なまでに奇抜なアイデアであり、(多くの人が)手放せないデバイスを、可能な限り最もクリエイティブな形で表現できるようになる可能性がある。
ヒット製品にならない可能性もある。何と言っても、まだ開発のごく初期段階にあるからだ。ただし、Araがたとえパイロットプログラムから次に進むことができなかったとしても、筆者はAraが象徴しているものを気に入っている。つまり、風変わりだが実現可能であり、楽しむことのできるコンセプトのことだ。少なくとも、自分だけの夢のスマートフォンを構築するという頭の体操を筆者は気に入っている。
モバイル業界において、Araはモジュール式携帯電話に対する初の試みではない。しかし、ラボ実験としてGoogleのリソースが投入されているAraは、実際に前進している唯一の試みだ。
最も有名な事例を紹介すると、オランダのデザイナーDave Hakkens氏は2013年、独自のコンセプト「Phonebloks」を発表した。しかし、GoogleはAraの祖先として、「Modu 1」という超小型携帯電話を挙げている。Modu 1は、自分の好みに合うハードウェア「ジャケット」と新しいインターフェースでカスタマイズすることが可能だった。Modu 1の登場はプレビューデバイスとして披露された2008年にまで遡り、その後2010年に商品化されて再登場した。
Moduが最初に登場してからの7年間で、モジュール式携帯電話にあまり人気が出ていないことを考えると、大きな期待はできないと感じるかもしれないが、筆者はそれでいいと思っている。
こうした野心的なアイデアは、テクノロジ開発のすべての分野で必要とされるものだ。それは、巷に溢れる大量の画一的なデバイスとは違ったインスピレーションを与えてくれる。さらに、エンジニアが技術面の問題を解決したとき、これらのアイデアは往々にして変質し、初期のハードウェア面の制限を超えて成長し、より強力なものに姿を変える。
Araは楽しいアイデアであり、すぐにメインストリームになることはないだろうが、あらゆる種類のモジュール式クリップオンを考え出す上で重要なのは、スマートフォンでできること、そして次に来るものについて、考え始めるようになるということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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