EasilyDoのMikael Berner氏とそのチームは「Apple Watch」アプリを開発していたとき、その成果が「iPhone」にも応用できることをすぐに悟った。
EasilyDoの開発者たちは、社名を冠した「EasilyDo」アプリで、ユーザーが求めている情報を見つけるのに時間がかかりすぎる場合があることに気づいた。EasilyDoは、電子メール、予定表、旅行情報、LinkedInなどのサービスを管理するバーチャルアシスタントだ。スマートウォッチを装着しているユーザーは、メニュー内を探し回らなくても、ちらっと下を見るだけで必要な情報を確認できなければならない。
このことはiPhoneにも当てはまると判断した開発者たちは、スマートフォンアプリを再構築して、Apple Watchアプリのように「さらにマイクロモーメント」なものにし、ユーザーが今現在していることに関連する情報を一目で確認できるようにしたと、EasilyDoの最高経営責任者(CEO)を務めるBerner氏は言う。ユーザーがバカンスに出かけようとしている場合、旧バージョンのスマートフォンアプリと違って、旅行情報がすべて含まれるメニューは表示されない。その代わりに、空港にいる間は、ゲートの変更に関する通知や、搭乗券が表示される。目的地の空港に着陸した後は、ホテルの住所など、その時々のユーザーのニーズに合った情報が提供される。
Apple Watchはまだ発売されていないが、その小型スクリーンは既にiPhoneアプリのルックアンドフィールに影響を及ぼしている。Apple Watchのシンプルで「一目で把握できる」機能の一部は、スマートフォンアプリにも応用されるだろう。よりミニマリスト的なデザインについても同様だ。それは、スマートフォンアプリとスマートウォッチアプリをシームレスに連携させるということだけでなく、新しい機能や従来のものと異なるデザインスキームといったスマートウォッチの特徴をiPhoneに組み込むことでもある。それによってメニュー内での移動が減り、ユーザーの操作が効率化されるものと開発者は期待している。
「多くのユーザーは、少し操作の回数が減ったApple Watchのインターフェースに慣れていくだろう」(Berner氏)
すべての企業がユーザーにとって理解しやすいiPhoneアプリに修正を加えるわけではないが、EasilyDoやAmerican Airlines、BetterWorks、Citi、Evernoteといった企業はApple Watchがきっかけで、自社のメインのスマートフォンソフトウェアを変更しようとしている。
Appleが2014年9月に初披露したApple Watchは、価格が349ドル~1万7000ドルで、米国時間4月24日に発売予定だ。3つのモデル、2つのサイズ、モデルごとに2種類の金属仕上げ、さまざまなバンドが用意され、「iPhone 5」以降のiPhoneと連携する必要があり、スマートフォンと接続していないときは、ほとんどの機能を利用できない。
Appleは、Apple WatchをiPhoneと並ぶ売れ筋商品に育てるとともに、iPhoneのさらなる販売拡大につなげたい考えだ。Apple Watchの成否は、同スマートウォッチで利用できるアプリと密接に関わっている。Apple Watchを絶対に手に入れたいデバイスと思わせるほどの「キラーアプリ」はないが、Appleとアプリパートナーは、この高価なウェアラブルデバイスの購入を少なくとも検討すべき理由をいくつもユーザーに与えている。
Appleは先週のプレスイベントで自社の主張を展開し、Apple Watchを使ってUberの車両を呼び出す方法や、ホテルの部屋のドアを解錠する方法を説明した。また、手首をタップしてフライトのチェックインをすることや、自宅の照明を消すこともできるようになる。
初期のApple Watchアプリの大半はメインのiPhoneアプリの拡張であり、簡単な通知などを表示するが、機能はかなり限定されている。シンプルさが鍵だ。これまでのところ、Apple Watchにできてスマートフォンにできないことはほとんどない。しかし、Apple Watch向けに開発された機能は、上流のiPhoneにも少しずつ移植されるだろう。
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