NTTは2月18日、ビッグデータの分析を通じて人・モノ・情報の流れを近未来予測し、先行的に制御することで、混雑時の人や交通の流れの最適化することを目指す研究開発「himico」を開始すると発表した。研究は、2020年の東京オリンピック開催を見据えたもので、ビッグデータ分析の関連技術を集めたNTTの「機械学習・データ科学センタ」を中核として行っていくという。
プロジェクトの中核技術としてNTTが開発を目指す「時空間多次元集合データ分析」は、多次元の軸で「時間」と「空間」を考慮することで、過去における一定期間のデータから人、モノ、情報などの流れに対する時間と空間の影響パターンを学習し、数時間程度先の近未来における事象の発生時期と場所を予測。
これを雑踏における人の動きに適用して、近未来の混雑を予測する。そして、予測に基づいて複数の誘導シナリオをシミュレーションし、そのシナリオの中から最も混雑が緩和できるシナリオで先行的に誘導する。この処理をリアルタイムに反復することで、人流誘導の最適化を目指すとしている。
この技術によって実現するシーンとして、空港から出発する電車の混雑度を予測し、電車の混雑時にはシャトルバスを割り引き、増便し、誘導することで全体の混雑を緩和したり、ランチ時間帯などのレストランの混雑度を予測し、空いている時間帯や空いているお店にクーポンで誘導したりするといったものを挙げている。
同社では、この研究開発によって生まれた技術について、他の産業の企業との連携を図り、観光、交通、街づくり、スポーツ・エンターテイメント、流通、エネルギーなどの分野に活用していくとしている。また、この技術を応用して「いつ、どこでネットワークが混雑するか」といった近未来予測をし、ネットワーク制御技術などと組み合わせることで、快適な通信の実現を目指すとのこと。
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