NTTは1月28日、テレビのスポーツ中継で観客の歓声に埋もれているスポーツの競技音をクリアに抽出する音声処理ソフトウェア技術「ターゲットマイク技術」を開発したと発表した。
ターゲットマイク技術は、音源の到来方向(空間情報)に加えて、例えばサッカーのシュート音の場合「立ち上がりの鋭さ」といった競技音の特性を利用して、競技音をクリア抽出するソフトウェア技術。
ガンマイクが使われていた従来のスポーツ中継では、会場の観客の歓声や応援などの雑音を十分に抑圧できず、マイクが競技音を十分に拾えないという課題があったが、複数のマイクロホンで観測した音声信号に、この技術を適用することで、競技音をクリアに集音できるようになったという。
開発にあたっては、NHKと共同で2014年7月から実際のスポーツ大会などの会場で、ターゲットマイク技術を用いた競技音抽出実験を実施。「サッカーのシュート音」「相撲の力士がぶつかり合う音や行司の声」「ゴルフのショット音や落下音」「野球の打撃音」を抽出し、競技音を10倍から1000倍に強調することで、より臨場感のあるダイナミックな音の出力が可能になることを実証したという。
発表の中でNTTは、ターゲットマイク技術によってこれまで以上にスポーツのダイナミックな競技音を視聴者に届けることが可能になるとしている。今後は、NTTのグループ会社を通じて1年以内の実用化を目指し、2020年までにはスポーツ観戦においてより臨場感ある競技音の体験を世界中の人々に提供できるよう取り組んでいくとのこと。
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