Echoでもう1つ残念な点がある。Alexaの声は非常によいが、Echoは音楽の再生用としてはそれほど優れたスピーカーではない。それなりの低音と360度サウンドと呼ばれる音は出てくるものの、音量を上げると音がひずむ(場合によってはひどくひずむ)傾向にある。バックグラウンド音楽として再生する分には問題ないが、200ドル程度で販売されているより小型で円筒型をした「UE BOOM」のようなスピーカーと肩を並べるほどのレベルではない。UE BOOMはその大きさに比して素晴らしいサウンドを出し、携帯性にも優れている。
音質を最適化するために、Bluetooth経由での音楽をストリーミングしながらスピーカーの置き場所を色々と変えてみたところ、優れたサウンドを再生する場合もあった。しかし、ひずみはひずみであり、音量を60%よりも上にした場合、聴きづらい音となった。
Amazonのエンジニアであれば、イコライザーの設定を変えて試行錯誤できるはずであるため、将来のアップデートでこのサウンドを改善してほしいと願っている。しかし、特定の周波数、特に低音部がひずまないよう、さまざまな音楽でさらなるチューニングとテストを実施する必要があるだろう。
Echoは開発中の製品であり、言うなればベータ版である点に留意されたい。Amazonがローンチに際して、限定した顧客に対してたったの99ドルで提供している理由はそこにある(Amazon版のKickstarterプロジェクトだと考えてもよいだろう)。同社はアーリーアダプターにベータテスターの役目を担ってもらい、少しずつ改善を施すとともに機能を追加していこうとしているのだ。
しかし最大の問題は、Echoがもたらそうとしている基本的な2つの機能にある。それらは、音楽用ワイヤレススピーカーと、バーチャルアシスタントだ。とは言うものの、どちらも他の製品と差別化できるようなレベルに達していない。同程度の価格でより優れたワイヤレススピーカーが販売されているうえ、AppleやGoogle、Microsoftの携帯電話やタブレットに搭載されているバーチャルアシスタントであれば現在のところAlexaができることはおそらく「すべて」行える。
さらに、Echoには2つの価格、すなわちPrime会員向けの99ドルという期間限定の特別価格と199ドルという標準価格が設定されているという点が問題をさらにややこしくしている。つまり、価値という観点からの評価が特に難しくなるわけだ。99ドルで入手したユーザーは寛大になり、この製品の機能と、音声を使ってそうした機能にアクセスできるという新奇性を楽しめるだろう。言い換えれば、99ドルを支払うユーザーにとっては良い買い物であり、星の数は5分の3.5といったところになるはずだ。
しかし、199ドルで現在の状態となると、お買い得感はなくなる。今のところ、筆者の評価は若干低めのものとなる。Echoが進化すればこのレビューも変わってくるだろう。そして、おそらくは評価も変わってくるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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