Googleは先週、暗号化されずに送信されたウェブページについて、ユーザーに明示的に警告する機能をテスト版「Chrome」に組み込んだ。この背景には、Googleが世界第2位のデスクトップブラウザであるChromeを活用して、ウェブ上の接続を安全で暗号化されたものにすることを例外ではなく当然のことにしようとしていることがある。暗号化により送信中のデータにスクランブルをかけることで、ID盗難者や政府による盗聴からユーザーが保護される。
暗号化機能がChromeのメインストリームバージョンに導入された場合、ウェブページが問題なく動作していると考えていたユーザーに対して注意を喚起することが可能になる一方、ユーザーに何かおかしいと不安に感じてほしくないウェブサイト運営者には、新たなコストを課すことになるだろう。しかし、問題には修正が必要というのがGoogleの考えだ。
デフォルトで暗号化を適用する動きは、ウェブにとって極めて重要な変化だ。暗号化されていないページの場合、「無料Wi-Fi」アクセスポイントを提供するインターネットサービスプロバイダー(ISP)、タクシーや空港のWi-Fi事業者、あるいは悪意のあるハッカーらは、コンピュータから送受信されるデータすべてを読み取ることが可能だ。また、ハッカーがウェブページを改ざんしたり、ISPが独自の広告を挿入することも可能だ。こうした類の傍受や改ざんを阻止するため、Googleは2010年、自社の「Gmail」接続と検索サイトを暗号化しており、米YahooやMicrosoftもこれに追随している。
とはいえ、Wikipedia、Instagram、Craigslist、Imgur、China Daily、米CNN、さらにAmazonの製品ページといった数多くのウェブページは、セキュアな接続を介して表示されているわけではない。上位100万のウェブサイトを対象にした2014年の調査によると、55%は暗号化を提供していないという。
先週、暗号化計画の実現に向けてGoogleが実施した最初のステップは、ほとんど誰にも直接的に影響することがない小さな一歩だ。開発初期段階の「Canary」版Chrome(一般のユーザー向けとしては安定しておらず、テストも十分でない)では現在、暗号化されていないページに関する警告表示を手動で設定することができる。暗号化されていないページにアクセスしているユーザーには、南京錠に赤いXが重なったマークがChromeのアドレスバーに表示される。
この変更は、いずれメインストリーム版Chromeに拡大する見込みだ。Googleは暗号化機能の導入スケジュールを明らかにしていないが、1つの方法として、暗号化接続が一般的な機能としてある一定のレベルに達した時点で、警告機能を追加する可能性を示唆した。
現時点で同機能を有効にするには、Canary版Chromeをインストールし、Chromeの「chrome://flags」インターフェースで「mark non-secure origins as non-secure」オプションを有効にする必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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