シャープがAQUOS Kの提案に至った理由は、フィーチャーフォンの契約数が約6000万あり、年間1000万台近い出荷台数を誇るなど、今なお多くのユーザーに支持されており、安定したビジネスになっていることにあるようだ。
フィーチャーフォンはスマートフォンと異なり海外メーカーが入り込みにくく、スマートフォンから撤退したNECやパナソニックなどは現在もフィーチャーフォンを作り続け、一定のシェアを確保している。そうした安定した市場で高いシェアを確保することが、モバイル事業全体でも収益の拡大につながるという狙いがあるようだ。
一方で、携帯キャリアがスマートフォンへのシフトを積極的に推し進めていることから、フィーチャーフォンの技術開発は実質的に止まってしまっている。それゆえ採用する部品も古く、調達しづらくなってきており、現状のままフィーチャーフォンを開発し続けることが難しくなりつつあったようだ。
そこでニーズの高いフィーチャーフォンを作り続けるためにも、スマートフォンの技術を取り込み、部品やソフトを共通化することなどで開発しやすい体制を整える必要があったことから、Androidを搭載したフィーチャーフォンという発想に至ったのだという。
またユーザー調査などから、周囲にスマートフォンに買い替えたユーザーが増えたことで、LINEを経由したコミュニケーションが主体となり、友人との連絡に不便さを感じているフィーチャーフォンユーザーの姿を見ることもできたという。そこでAQUOS KではLINEを提供したり、スマートフォンユーザーと同じウェブコンテンツを閲覧できるブラウザが利用できることなどを重視したという。
さらにタブレットとの2台持ち需要は高いとの判断から、テザリング機能がすぐ呼び出せるボタンを用意したほか、タブレットとデータのやり取りに便利な「PASSNOW」などの仕組みも備えている。
一方で、フィーチャーフォン上でコンテンツを積極利用する人は少ないとの判断から、タッチパネルやGoogle Playの搭載には至らなかったようだ。しかし、スマートフォンのコミュニケーションやコンテンツの変化は激しく、将来的なことを考えると、端末上でのアプリやコンテンツへの対応が弱いことには不安もある。特に最近では、新しいインターネットサービスをアプリだけで提供する傾向が強まっていることから、アプリの利用に向けた対応は、もう少し積極的であってもいいように感じる。
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